「転職」という選択肢は、いわば“ワイルドカード”であり、ハイリスク・ハイリターンである。自分の動機がどこにあるのかをしっかり認識して、そのカードを切る/切らないを考えたい。

 「この会社もう辞めようかな」「こんな仕事に切りをつけて転職したほうがいいかな」と思ったとき、選択肢は4つです。

  〈A〉留まる
   ・1:現職場で「我慢する」
   ・2:現職場で「奮起する」
  〈B〉動く
   ・3:社内で「異動する」
   ・4:社外へ「転職する」

◆「留まる」のも立派な選択肢
 最も簡単でリスクの少ない選択肢は、現在の環境で我慢し、様子見することです。しばらく我慢すれば、「いやな上司も代わるかもしれないし、会社の空気も変わるかもしれない」、「そもそもほかに行けるところもないしなぁ」といった受身の対応です。自分のキャリアをどうしたいかという主体的な意志が弱い場合は、ヘタに動かずにいたほうがいいというのは処世術として正しいかもしれません。ただ、仕事が苦役であり、ストレスの蓄積に耐えるばかりの人生でいいのかという大きな自問は残ります。
 一方、そこに留まって現在の環境を主体的に変えるという勇敢で賢明な選択肢もあります。昔から「石の上にも3年」とあるように、1つの仕事、1つの組織に丸3年かかわっていると、いろいろなものがみえてきますし、身についてきます。不思議なことに、丸2年と丸3年の差は大きいものです。2年ではみえなかったものが、3年いると忽然とみえてくるものが多いのは、過去から大勢の人が経験するところです。




◆転職の前に「展職」を試みよ
 私は、企業の研修などで「転職というワイルドカードを切る前に、どれだけ“展職”を試みていますか」と、受講者に質問を投げかけています。

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