『ブラック・ジャック創作秘話』で「このマンガがすごい!2012」オトコ編部門1位を獲得。大ブレイク中のノンフィクションマンガ家・吉本浩二インタビュー
――まずは『ブラック・ジャック創作秘話』での「このマンガがすごい!2012」オトコ編部門1位の受賞、おめでとうございます。失礼ですけど、かなり狭いお仕事場ですよね? あまり受賞の雰囲気を感じさせない……。
【吉本】前はもっとひどかったです。6畳一間で仕事場兼住居のような。
――そのような苦しい経験があったからこそ熱のこもったリアルなマンガが描けるんですね。
【吉本】いや。……そんな。
――昔からノンフィクションマンガを描こうと?
【吉本】そんなに意識は……。
――では、ノンフィクション作品を見たりするのが好きだったとか?
【吉本】はぁ。でも。そんなに。
――好きな映画は?
【吉本】松江哲明監督の『ライブテープ』です。
――超ドキュメンタリー映画ですね。ちなみに、好きなマンガは?
【吉本】藤子不二雄Aの『まんが道』です。同じ富山出身のマンガ家さんなんで共感できるんです。
――先生っ。話聞いてるとバリバリのノンフィクション好きですよ。
【吉本】えっ。……でも確かに大学の頃、ドキュメンタリー作品みたいなものを撮ってたなぁ。 その後、テレビドラマが作りたくて、東京の映像制作会社に入社したんです。
――あの……。完全にそこが今の源流の気がしますが。
【吉本】…………確かに言われてみればそうですね。
――話変わります。『日本をゆっくり走ってみたよ』では先生自身がさえない男として日本一周を決意しますが、本当にモテない人生を過ごされていたんですか?
【吉本】う〜ん。そもそもモテるってなんなんですかね?
――それを言い出すとここでは収まりきらないと思いますので。
【吉本】あぁ。でも昔バイト先で好きになったコがいて、金曜日の夜、電話で告白したんですよ。そしたら月曜日に「家庭の都合でやめました」と聞かされたことはありましたね。
――いい経験してますね(泣)。
【吉本】でも、そうした経験をしないと結局そのままなんですよね。いろんなリアルに直面しないと何も変わらないと思うんです。
風俗とかのリアルな体験って人に伝えたくなるじゃないですか。失敗しても成功しても。でも、AVは違うんですよね。どんなにいいものでも“コト”が終わればそこで完結しちゃうような……。
――確かに、先生の作品はそうした「リアルな何か」がこもっている気がします。
【吉本】なんですかね。モテるってたぶんオドオドしないことだと思うんですよ。ボクもいまだにオドオドしちゃうんですが、何もしないで待っているよりは行動に移したほうが人生は楽しくなると思うんです。そのことに30代半ばで気づきました。
――そうしたなか、先生の考えるノンフィクションマンガの役割ってなんでしょう?
【吉本】……難しいですね。でも、自分の描くノンフィクションマンガを読んで、「よし、頑張って行動に移そう!」とか思ってもらえるとうれしいですかね。あくまでリアルな体験をするための助けとして。
――たとえが悪いんですが、「風俗に行きたい」と思わせるためのAVのような存在というわけですか?
【吉本】そう……ですかね。なんかカッコつけたこと言ったような気がします。おこがましいです。
●吉本浩二(よしもと・こうじ)
1973年生まれ、富山県出身。数々のノンフィクションマンガを描き、『ブラック・ジャック創作秘話』で「このマンガがすごい!2012」オトコ編第1位を獲得。
■ゼッタイに読みたい吉本作品3連発!!
・『日本をゆっくり走ってみたよ〜あの娘のために日本一周〜』(双葉社)
吉本氏自身が恋するEさんに告白するためにバイクで日本一周をする作品。モテない男必読の恋愛バイブル。強くなりたくば読むべし。
・『さんてつ』(新潮社)
震災で被災した三陸鉄道の復興物語。三陸鉄道側の目線だけでなく乗客のエピソードも盛り込まれ、涙を誘う記録マンガ。
・『ブラック・ジャック創作秘話』(原作/宮崎 克、秋田書店)
“マンガの神様”手塚治虫氏の伝記マンガ。編集やアニメ制作サイドとの関わりなど、新しい視点で“神様”の様子が描かれている。
(撮影/橋爪英典)
【関連記事】
マンガ家生活30年にして『花のズボラ飯』『孤独のグルメ』でいまさらプチブレイク中。マンガ家・久住昌之インタビュー
「俺は尾田栄一郎にはなれない!」マンガ大賞2011にノミネートされた『日々ロック』で大注目のマンガ家・榎屋克優インタビュー
岩手県出身の漫画家たちが集結。漫画でエールを送る『コミックいわて2』
講談社から集英社に電撃移籍?指原莉乃の漫画『さしこ+』スタートで「波風を立てないようにしたい」
相次ぐ人気漫画の実写映画化、漫画家のホンネは?
【吉本】前はもっとひどかったです。6畳一間で仕事場兼住居のような。
――そのような苦しい経験があったからこそ熱のこもったリアルなマンガが描けるんですね。
【吉本】いや。……そんな。
【吉本】そんなに意識は……。
――では、ノンフィクション作品を見たりするのが好きだったとか?
【吉本】はぁ。でも。そんなに。
――好きな映画は?
【吉本】松江哲明監督の『ライブテープ』です。
――超ドキュメンタリー映画ですね。ちなみに、好きなマンガは?
【吉本】藤子不二雄Aの『まんが道』です。同じ富山出身のマンガ家さんなんで共感できるんです。
――先生っ。話聞いてるとバリバリのノンフィクション好きですよ。
【吉本】えっ。……でも確かに大学の頃、ドキュメンタリー作品みたいなものを撮ってたなぁ。 その後、テレビドラマが作りたくて、東京の映像制作会社に入社したんです。
――あの……。完全にそこが今の源流の気がしますが。
【吉本】…………確かに言われてみればそうですね。
――話変わります。『日本をゆっくり走ってみたよ』では先生自身がさえない男として日本一周を決意しますが、本当にモテない人生を過ごされていたんですか?
【吉本】う〜ん。そもそもモテるってなんなんですかね?
――それを言い出すとここでは収まりきらないと思いますので。
【吉本】あぁ。でも昔バイト先で好きになったコがいて、金曜日の夜、電話で告白したんですよ。そしたら月曜日に「家庭の都合でやめました」と聞かされたことはありましたね。
――いい経験してますね(泣)。
【吉本】でも、そうした経験をしないと結局そのままなんですよね。いろんなリアルに直面しないと何も変わらないと思うんです。
風俗とかのリアルな体験って人に伝えたくなるじゃないですか。失敗しても成功しても。でも、AVは違うんですよね。どんなにいいものでも“コト”が終わればそこで完結しちゃうような……。
――確かに、先生の作品はそうした「リアルな何か」がこもっている気がします。
【吉本】なんですかね。モテるってたぶんオドオドしないことだと思うんですよ。ボクもいまだにオドオドしちゃうんですが、何もしないで待っているよりは行動に移したほうが人生は楽しくなると思うんです。そのことに30代半ばで気づきました。
――そうしたなか、先生の考えるノンフィクションマンガの役割ってなんでしょう?
【吉本】……難しいですね。でも、自分の描くノンフィクションマンガを読んで、「よし、頑張って行動に移そう!」とか思ってもらえるとうれしいですかね。あくまでリアルな体験をするための助けとして。
――たとえが悪いんですが、「風俗に行きたい」と思わせるためのAVのような存在というわけですか?
【吉本】そう……ですかね。なんかカッコつけたこと言ったような気がします。おこがましいです。
●吉本浩二(よしもと・こうじ)
1973年生まれ、富山県出身。数々のノンフィクションマンガを描き、『ブラック・ジャック創作秘話』で「このマンガがすごい!2012」オトコ編第1位を獲得。
■ゼッタイに読みたい吉本作品3連発!!
・『日本をゆっくり走ってみたよ〜あの娘のために日本一周〜』(双葉社)
吉本氏自身が恋するEさんに告白するためにバイクで日本一周をする作品。モテない男必読の恋愛バイブル。強くなりたくば読むべし。
・『さんてつ』(新潮社)
震災で被災した三陸鉄道の復興物語。三陸鉄道側の目線だけでなく乗客のエピソードも盛り込まれ、涙を誘う記録マンガ。
・『ブラック・ジャック創作秘話』(原作/宮崎 克、秋田書店)
“マンガの神様”手塚治虫氏の伝記マンガ。編集やアニメ制作サイドとの関わりなど、新しい視点で“神様”の様子が描かれている。
(撮影/橋爪英典)
【関連記事】
マンガ家生活30年にして『花のズボラ飯』『孤独のグルメ』でいまさらプチブレイク中。マンガ家・久住昌之インタビュー
「俺は尾田栄一郎にはなれない!」マンガ大賞2011にノミネートされた『日々ロック』で大注目のマンガ家・榎屋克優インタビュー
岩手県出身の漫画家たちが集結。漫画でエールを送る『コミックいわて2』
講談社から集英社に電撃移籍?指原莉乃の漫画『さしこ+』スタートで「波風を立てないようにしたい」
相次ぐ人気漫画の実写映画化、漫画家のホンネは?