抽象的に考える力〜喩え話をどう現実に展開するか/村山 昇
ディズニー映画『ファンタジア』。ミッキーマウス扮する「魔法使いの弟子」は箒(ほうき)に魔法をかけ、自分に代わって水汲みをさせるが…。この寓話からあなたは何を学び取るだろうか。
きょうは抽象的思考のひとつである「比喩で考える」について書く。比喩で考えることには2つの種類がある。
1つは、「比喩の凝結」=ものごとを比喩表現に落とし込む思考。
もう1つは、「比喩の展開」=比喩表現を他のものごとへ応用する思考。
きょうはその中で、後者「比喩の展開」を取り上げる。
* * * * *
◆共通性を見出して括る…それが抽象作業
まず、「抽象的に考える」とはどういうことかを改めて押さえることから始めたい。抽象とは、ものごとのある性質を引き抜いて把握することをいう。抽象の「抽」は「抜く・引く」という意味で、「象」は「ようす・ありさま」のことだ。
図1を見てほしい。横に「ヒト」「キリン」「カエル」「ミジンコ」「サクラ」と並んでいる。そこでまず「ヒト」と「キリン」を括る〈共通性?〉は何だろうか。次に「ヒト」と「カエル」を括る〈共通性?〉は何だろうか。そういう具合に〈共通性?〉〈共通性?〉に入る言葉を考えてほしい。
……正解の一例をあげると、順に「哺乳動物」「脊椎動物」「動物」「生き物」となる。このように複数の物事の間に何かしらの共通性を考えるとは、簡単に言えば、グループ分けをしてそこにラベル張りをする作業でもある。その作業をするとき、私たちは必然的に、そこに並んでいる物事の外観や性質から特徴的な要素を引き抜き、どんな括りで分類できそうかを考える。これがまさに抽象的に考えることにほかならない。
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きょうは抽象的思考のひとつである「比喩で考える」について書く。比喩で考えることには2つの種類がある。
1つは、「比喩の凝結」=ものごとを比喩表現に落とし込む思考。
もう1つは、「比喩の展開」=比喩表現を他のものごとへ応用する思考。
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◆共通性を見出して括る…それが抽象作業
まず、「抽象的に考える」とはどういうことかを改めて押さえることから始めたい。抽象とは、ものごとのある性質を引き抜いて把握することをいう。抽象の「抽」は「抜く・引く」という意味で、「象」は「ようす・ありさま」のことだ。
図1を見てほしい。横に「ヒト」「キリン」「カエル」「ミジンコ」「サクラ」と並んでいる。そこでまず「ヒト」と「キリン」を括る〈共通性?〉は何だろうか。次に「ヒト」と「カエル」を括る〈共通性?〉は何だろうか。そういう具合に〈共通性?〉〈共通性?〉に入る言葉を考えてほしい。
……正解の一例をあげると、順に「哺乳動物」「脊椎動物」「動物」「生き物」となる。このように複数の物事の間に何かしらの共通性を考えるとは、簡単に言えば、グループ分けをしてそこにラベル張りをする作業でもある。その作業をするとき、私たちは必然的に、そこに並んでいる物事の外観や性質から特徴的な要素を引き抜き、どんな括りで分類できそうかを考える。これがまさに抽象的に考えることにほかならない。
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