日経MJの記事によると、セブンイレブンの冷蔵和菓子が好調なようだ。3月7日の総合小売り面のコラム「売る技術 光る戦略」によれば、売上は対前年同月比3割増だという。売れるワケを深掘りして考えてみよう。

 記事には「女性・高齢者の“もう1品”に」とタイトルがある。ターゲットとポジショニングが明確であるということだ。特に近年は、勤労女性や少人数・単身世帯の増加と共に、コンビニ客のうち女性及び高齢者比率が増えている。冷蔵和菓子は2005年から同社がフォーカスした戦略であるというが、東日本大震災以降、主婦や高齢者の来店が増えているため、もう一段アクセルを踏み込んだ施策なのだ。

「もう1品」となるポジションの軸は、1つは「手が出しやすい」ということだ。それは価格が安いというだけではない。記事中に購入者の声が掲載されている。「ちょっと甘いものが欲しいときに便利。和菓子店で1つだけ買うわけにはいかないから」。つまり、買い物の「ついで買い」として手に取られるのだ。和菓子を買いたいと思うときの消費者のニーズギャップをうまくとらえているのである。
 ポジショニングのもう1つの軸はカロリーだろう。コンビニ各社は近年スイーツに力を入れてきた。しかし、意外とそのスイーツはカロリーが高い。「ロールケーキなど250キロカロリー以上の商品も多い」というが、「和菓子はあんみつで約230キロカロリー、水ようかんでは200キロカロリーを切る」とある。
<洋菓子より低いカロリー×専門店より買いやすい>という明確なポジショニングが示されている。
 
 ターゲティング・ポジショニングが明確であり、それを実現する4Pの各要素もそれと整合していることがわかる。

・商品(Product)
冷蔵和菓子は常温品と比べ、保存のために砂糖を多量に入れることが避けられる。素材の味を引き出すことができるのだ。客を飽きさせない「甘さを控えた専門店の味」だという。
・価格(Price)

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