行き場を失った被災地のガレキ。保管所では自然発火で火災も発生
3・11から1年を迎えるにも関わらず、宮城県、福島県、岩手県などの被災地で発生した震災ガレキと除染ゴミの処理は進んでいない。環境省・廃棄物対策課の播磨哲平氏は、こう説明する。
「津波によって発生した災害廃棄物の量は岩手県で通常の約11年分、宮城県で通常の19年分。既存の施設に加え、仮設焼却炉を設置して日夜、処理に取り組んでいますが、現時点では一部しか処理できていません。そこで災害廃棄物の広域処理(県外処理)が不可欠になっているのですが、これが一向に進まないのです」
宮城県のガレキ総量の約4割、岩手県分の1.3倍もの膨大なガレキを抱える石巻市の場合、市内に23ヶ所ある一次仮置き場のうち、「満量により閉鎖済み」が2ヶ所、「閉鎖予定」が2ヶ所、仮置き場の許容量100パーセント超えがすでに5ヶ所(2月8日時点)となっている。だが、仮置き場を新設する土地はもう無い。石巻市川口町一次仮置き場を管理する現場監督がこう話す。
「連日、2トン、4トン、10トンダンプカー約400台分のガレキが運ばれてくる。場内に積み上がったガレキの高さは20メートルに達しています。保管スペースはあとわずか。近々ここも閉鎖になるでしょう」
5月には日に1500トンを燃やす仮設焼却プラントが動き出す予定なのだが、前出の石巻市職員は不安をこう口にする。
「焼却プラントが稼働するまで2ヶ月。それまでもつかどうか……。実は被災家屋など、まだ解体できていない建物が約5000棟も残っていまして現時点で地権者から解体申請があったのは約1万棟で、このうち解体済みは約5000棟。つまり今、一次仮置き場に山積みになっているガレキと同じ量のガレキが、これから搬入されてくるということ。このままでは仮置き場がパンクしてしまう」
行き場の無いガレキは、保管スペース以外にも新たな懸念を生んでいる。それが“火災”だ。
「ガレキは分別しないまま高く積み上げると、内部が高温になったり木材などは腐敗してガスが発生したりして、自然発火による火災の危険性が高まる。昨年、市内の仮置き場で起きた火災は4件。うち1件は鎮火まで2週間かかる大規模なものだった。現在、内部の熱を逃す管をガレキの山に差し込むなどの対策は講じているが、ガレキ内部がかなり高温に達している仮置き場も少なくない。発火点に達すれば、この巨大なガレキの山は火の海になりかねない」(前出・現場監督)
いまだ多くの自治体で受け入れ拒否されている震災ガレキ。この問題が解決されない限り、真の復興とはいえない。
(取材/興山英雄、撮影/下城英悟)
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