からあげ好きにはこたえられない、からあげだけの一冊。

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どこを開いても、からあげ。どのページも、からあげ。見てるとどれも超おいしそうで、おなかがすいてくる。そういう一冊です。以上。おしまい。

もうこれだけで十分なような気もするが、とにかく一冊まるごとからあげなムック、『最強! からあげ本』(ダイアプレス)。
超定番のラーメンやカレー、最近では肉料理なんかでまとめたものなど、この手のグルメムックはこれまでにも様々な種類が出ているが、からあげだけで一冊つくっちゃったところがなによりスゴい。なにしろ、日本唐揚協会監修だし、掲載されている広告も、「日清から揚げ粉」や、お茶の「食事の脂にこの1本」(日本唐揚協会認定飲料だそうで)など、からあげ周辺のものだったりするところも、どこかトータルコンセプトめいている。

近年、都内にもからあげ専門店が次々にオープンしたりもしていて、からあげブームがきている空気もあるし、もともと大人気メニューだ。からあげも、店ごとの味の違いを楽しんだり、食べ比べをしてみたりといった感じに、一鶏料理から一ジャンル化してきたということなんだろうか。

中身を見てみると、定番の美味いからあげが食べられるお店ガイドがある。まずは首都圏。そして鶏料理といったら、手羽先や名古屋コーチンの名古屋が黙っちゃいない。さらに食いだおれの街・大阪にも美味いからあげはいろいろあると、数々のお店が紹介されている。
さらに、うどんの場合の讃岐のように、からあげの町として有名な、大分県・中津市が、「聖地」として登場。以前中津を訪れたときに、テイクアウトなどあちこちにからあげを食べることができるお店があるのに驚き、食べたからあげが、ニンニクがよくきいていて美味くてまた驚いたことを思い出し、また行きたく(食べたく)なってきた。やっぱりおなかへってきます。

ムックを眺めていると、ひとくちにからあげといっても、様々なバリエーションがある奥深い料理であることを、あらためて認識する。タレやスパイスなど下味や揚げ方の違いがあれば、テイクアウト向けのひとくちサイズのものもある。手羽先があれば、大きいサイズの素揚げなんかもあったりする。このからあげの宇宙的広がり、彦摩呂や石ちゃんなら、なんて例えてくれるんだろうか。

このムック、ただのお店紹介のグルメガイドというだけでなく、各種から揚げ粉を使ったレシピや、「コーンフレーク揚げ&ベビースター揚げ」や「ジュレ風さわやかあんかけ」「アボカドのクリーミーディップ」といった、からあげをより美味しく楽しむためのアイデアレシピなども掲載。それから、から揚げの歴史や雑学など、さらなるからあげの魅力を掘り下げるページもあったりする。鶏肉の部位ごとの詳細な解説だとか、比内地鶏や阿波尾鶏など、全国のブランド鶏の紹介日本で最初にからあげを料理メニューとして提供したのは、「食堂・三笠(現・三笠会館)」であるとか、「から揚げ粉には主に、「まぶしタイプ」「漬け込みタイプ」「揚げないタイプ」の3つがあるとか、読んでいるうちに、美味いからあげ屋を探すつもりが、からあげについて詳しくなっていたりもする。

「最強!」とわざわざうたうだけのことあるというか、本当にいたれりつくせり、からあげ本です。
(太田サトル)