ペンの書き心地を試す紙「試し書き」を楽しむ展示会
文房具屋にいると、それだけで数時間は楽しめる。もう、夢心地! あれは、どういう心境なのだろうか。ポールペンやシャーペン、ペンケース、ノート……。買ったら有意義に使うかどうかは自分でも疑問なのだが、なぜだかチョット欲しくなる。無駄に店内にいるけど、万引きじゃないから勘違いしないでください。
そして、ボールペンを物色している時。当然、“試し書き”をしないだろうか? 「このペンは、どんな線を引くんだろう?」みたいな。
実は、この“試し書き”(以下「タメシガキ」)に注目した人物がいる。以前、コネタでリポートした「離婚式」のプランナー・寺井広樹さんが3月17日に開催するのは「世界タメシガキ博覧会2012」である。
「タメシガキ」の博覧会、なんだそりゃ! その魅力とは、何ぞや。寺井さんに直接伺ってみましたよ!!(都内某所で)
「タメシガキは誰に見せるでもないので、その人の“素”が表れています。また、何が書いてあるか言葉がわからなくてもアートとしても楽しめます。タメシガキの紙は、まさに “無意識のアート”と言えます」(寺井さん)
それを証明するのは、こちら。一番上の画像をご覧いただきたい。これは寺井さんがヒッピーとして世界を放浪していた2007年に、偶然ベルギーで遭遇した1枚だそう。
「『アートとして展示されていてもおかしくない!』。そんな風に、衝撃を受けた1枚でした」(寺井さん)
それまで特に収集癖の無かった寺井さんだが、この出会いが契機となり「タメシガキ」を収集するようになったという。何しろ「日本のタメシガキって、どんなんだっけ?」と、すぐさまベルギーから日本に帰国したくなったというから、その衝動は本物だ。
ちなみに、現在の寺井コレクションについて。これがワールドワイドな規模を誇っているという。実際、博覧会当日には40カ国以上のタメシガキが額に入れて展示されるそうだ。そして面白いのが、どの国のタメシガキにも共通した傾向があるという事実。
「どこの国でも、なぜか『お母さん、大好き!』という一文が書かれていることが多いんです」(寺井さん)
ほっこり! このデータは微笑ましい。誰に見せるでもない「タメシガキ」だからこそ、ポロっと本音が出てしまったか? 実は、これは日本でも当てはまる統計だそう。
ところで! このイベントが開催されるのは1日限りである。どうして!? もっと貪欲に発信して然るべき価値観だと思うのだが……。
「“タメシガキ殺し”と呼んでいるのですが、この魅力を知ってしまうと『自分は何を書こうかなぁ?』と意識してしまいます。すると、もう本物は書けなくなってしまうんです。だから、寺西さん(筆者のこと)はもう本物を書けないんですよ?」(寺井さん)
ガーン! 突然、タメシガキ界における死亡宣告を受けてしまう私。知らぬ間に、自分は“タメシガキ童貞”を破っていたようだ。
だからこそ、このイベントは複雑な心境の元に開催される。
「タメシガキの魅力を、皆さんに知っていただきたいです。ただ、みんなが気付いてしまったら、私たちが本来欲しいタメシガキが入手できなくなってしまう可能性もあるわけです……」(寺井さん)
何とも裏腹な。1日限りの理由、わかっていただけましたでしょうか!?
そういえば、他の国のタメシガキはどんな物があるのだろう? こちらも、一足お先に拝見させていただきましたよ。
まずパッと目に付いたのは、ドイツのタメシガキ。何となく、国民性が表れている。「4Bか?」って位の不自然な濃さで所狭しと文字が書かれてて。だからこそ、重厚な印象がある。「ドイツッ!」という感じ。面白いもんだな!
それと対をなすのが、スウェーデン。不思議な色気がないだろうか? 色使いといい、イラストといい、私はこのタメシガキに“盛り場的”な雰囲気を感じました。
他にも、熱帯魚みたいなイラストが描かれているカンボジアだったり、線でギュウギュウに埋められているのにどこか軽やかなノリが拭いきれないニューメキシコだったり……。このコレクション、もしかして文化人類学にも活かせるんじゃないか?
……という風に、今日はたくさんのタメシガキの魅力を満喫させていただきました。でも、この世界は奥が深い。一朝一夕にはいかない。
「タメシガキを収集して5年経つのですが、私も昔と好みが違ってきています。当初は書いている文言の内容に注目していたのですが、今はアートとして楽しんでおります」(寺井さん)
例えば、なぜか「二宮和也」という一文が書かれたタメシガキがあったそう。「これ、もしかして本人が書いたの?」と妄想する楽しみもあるのだが、そのレベルは寺井さんは卒業してる。彼の楽しみ方は、あくまで“無意識のアート”。文字の配置やイラストの妙、カラーリングを総合して楽しむ域に達している。このがっつかない姿勢には、センスを感じてしまう。そう考えると、冒頭のベルギー産は確かに際立ってるよ!
間口は広くて、奥も深い。私もいつか、“タメシガキ達人”の境地に到達したいです!
(寺西ジャジューカ)
そして、ボールペンを物色している時。当然、“試し書き”をしないだろうか? 「このペンは、どんな線を引くんだろう?」みたいな。
実は、この“試し書き”(以下「タメシガキ」)に注目した人物がいる。以前、コネタでリポートした「離婚式」のプランナー・寺井広樹さんが3月17日に開催するのは「世界タメシガキ博覧会2012」である。
「タメシガキは誰に見せるでもないので、その人の“素”が表れています。また、何が書いてあるか言葉がわからなくてもアートとしても楽しめます。タメシガキの紙は、まさに “無意識のアート”と言えます」(寺井さん)
それを証明するのは、こちら。一番上の画像をご覧いただきたい。これは寺井さんがヒッピーとして世界を放浪していた2007年に、偶然ベルギーで遭遇した1枚だそう。
「『アートとして展示されていてもおかしくない!』。そんな風に、衝撃を受けた1枚でした」(寺井さん)
それまで特に収集癖の無かった寺井さんだが、この出会いが契機となり「タメシガキ」を収集するようになったという。何しろ「日本のタメシガキって、どんなんだっけ?」と、すぐさまベルギーから日本に帰国したくなったというから、その衝動は本物だ。
ちなみに、現在の寺井コレクションについて。これがワールドワイドな規模を誇っているという。実際、博覧会当日には40カ国以上のタメシガキが額に入れて展示されるそうだ。そして面白いのが、どの国のタメシガキにも共通した傾向があるという事実。
「どこの国でも、なぜか『お母さん、大好き!』という一文が書かれていることが多いんです」(寺井さん)
ほっこり! このデータは微笑ましい。誰に見せるでもない「タメシガキ」だからこそ、ポロっと本音が出てしまったか? 実は、これは日本でも当てはまる統計だそう。
ところで! このイベントが開催されるのは1日限りである。どうして!? もっと貪欲に発信して然るべき価値観だと思うのだが……。
「“タメシガキ殺し”と呼んでいるのですが、この魅力を知ってしまうと『自分は何を書こうかなぁ?』と意識してしまいます。すると、もう本物は書けなくなってしまうんです。だから、寺西さん(筆者のこと)はもう本物を書けないんですよ?」(寺井さん)
ガーン! 突然、タメシガキ界における死亡宣告を受けてしまう私。知らぬ間に、自分は“タメシガキ童貞”を破っていたようだ。
だからこそ、このイベントは複雑な心境の元に開催される。
「タメシガキの魅力を、皆さんに知っていただきたいです。ただ、みんなが気付いてしまったら、私たちが本来欲しいタメシガキが入手できなくなってしまう可能性もあるわけです……」(寺井さん)
何とも裏腹な。1日限りの理由、わかっていただけましたでしょうか!?
そういえば、他の国のタメシガキはどんな物があるのだろう? こちらも、一足お先に拝見させていただきましたよ。
まずパッと目に付いたのは、ドイツのタメシガキ。何となく、国民性が表れている。「4Bか?」って位の不自然な濃さで所狭しと文字が書かれてて。だからこそ、重厚な印象がある。「ドイツッ!」という感じ。面白いもんだな!
それと対をなすのが、スウェーデン。不思議な色気がないだろうか? 色使いといい、イラストといい、私はこのタメシガキに“盛り場的”な雰囲気を感じました。
他にも、熱帯魚みたいなイラストが描かれているカンボジアだったり、線でギュウギュウに埋められているのにどこか軽やかなノリが拭いきれないニューメキシコだったり……。このコレクション、もしかして文化人類学にも活かせるんじゃないか?
……という風に、今日はたくさんのタメシガキの魅力を満喫させていただきました。でも、この世界は奥が深い。一朝一夕にはいかない。
「タメシガキを収集して5年経つのですが、私も昔と好みが違ってきています。当初は書いている文言の内容に注目していたのですが、今はアートとして楽しんでおります」(寺井さん)
例えば、なぜか「二宮和也」という一文が書かれたタメシガキがあったそう。「これ、もしかして本人が書いたの?」と妄想する楽しみもあるのだが、そのレベルは寺井さんは卒業してる。彼の楽しみ方は、あくまで“無意識のアート”。文字の配置やイラストの妙、カラーリングを総合して楽しむ域に達している。このがっつかない姿勢には、センスを感じてしまう。そう考えると、冒頭のベルギー産は確かに際立ってるよ!
間口は広くて、奥も深い。私もいつか、“タメシガキ達人”の境地に到達したいです!
(寺西ジャジューカ)