こういう感じの二股に分れたイチゴ、増えてませんか?

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近年、大粒で甘みの強いイチゴに出合うことが多くなった。
と同時に、最近は、2つがくっついた二股状の「双子イチゴ」もよく見かける。先日買ったパックなどには、双子に加え、3つ分がくっついた「三つ子イチゴ」まであった。

これって、何故なのか。大粒化していく中で起こったこと? 栃木県の農業試験場いちご研究所に聞いてみた。

「確かに大粒のものが増えるなか、2つがくっついたような二股状のイチゴも増えている印象はあります。ただし、昔から実はそれなりにありました。昔は流通の際に農家がはじいて、出荷されなかったものが多かったんです。ところが、今は形の良さや粒が揃っていることよりも、消費者が大きいものを好むという傾向があります。そのため、そうした好みの変化によって、かつてはじかれていた二股状のものなども市場に出回るようになったということはあると思います」

双子のイチゴができるのは、「花芽分化」の際に、何がしかの生育異常が起こったことが原因と考えられるそう。
「花芽分化」とは、葉芽から花芽へ変わる過渡期のことで、イチゴは日が短くなり、気温が下がると、この花芽分化を迎えるのだという。

「花芽の分化には窒素量や温度、日射量など、いろいろなものが影響しています。イチゴの場合は通常、1つの茎に複数のイチゴができますが、なかでもいちばん大きいものができるのは、頂の部分(頂花房)。これは、いわば長男のようなもので、そこから徐々に枝分かれしていきます。ところで、頂の部分の長男にあたる花芽が分化する際に、株のバランスが強くなって花芽が乱れると、2つのイチゴがくっついたようなものができるのではないかと思います」

つまり、肥料等が強くなり、栄養を多量にとったことで、粒の大型化が進むと同時に双子も増えているということ?
「それはあるかもしれませんね」

ちなみに、同じ時期に同じ条件下で生育したイチゴにおいては、大きいほうが栄養もあり、美味しいのだとか。では、双子のイチゴは?
「二股状のイチゴも、見た目は良くないというだけで、成分的には変わりませんし、大きければ栄養も良く美味しいはずですよ」

消費者の好みに応じて大きく作られる影響で自然発生した可能性と、かつては検品ではじかれたものが市場に出回るようになった影響とで、双子のイチゴ、やっぱり昔より増えているようです。
(田幸和歌子)