ミラーレンズのリングボケの特性を活かして撮った写真。落ち葉の積もった小道をピントを外して撮影。

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前回は、ミラーレンズを使ってふつうの望遠レンズと撮り比べてみたわけだが、今回はミラーレンズの特徴である「リングボケ」の写真を撮ってみる。

通常、望遠レンズなどでは光が玉のようにぼやける。よくポートレート写真の背景に光の玉がたくさん写っているのを見たことがあるだろう。筆者も背景をぼかしながら、ポートレートをよく撮ったものだ。それはそれでとても美しいのだが、ミラーレンズの場合はちょっとちがう。リングボケするのだ。文字通り、ドーナツみたいに穴が開いた光がたくさん写り込む(どうもレンズの真ん中にある反射鏡が関係しているようだ)。これが驚くほどたくさん出てくるから、おもしろくて一度撮ったら止められないかも。

まずは、背景にリングボケが入った写真を撮ってみた。晴天の日を選び、手前の被写体にピントを合わせ、光がたくさん入るように撮る。すると、無数のリング状の光が現れる。ちょっとピントを外し気味にすると、リングボケが大きくなる。基本的に望遠レンズだから背景を大きくぼかすのが得意だけに、その迫力は凄まじい。広角レンズや標準レンズでしか写真を撮っていない方、またはコンパクトデジカメの望遠側しか使ったことのないユーザーにとっては、とても信じられない世界だろう。

応用編として、思いっきりピントを外してみる。するとどうだ! 枝がまるで透き通ったように白く写った。枝に沿ってリングボケが連続していることで、そのように見える。凄く不思議な感覚である。喩えるなら、レントゲン写真で骨を見ている感じ。他方、地面を撮ってみると同様にリングの連続が地を這うようにして写る。

木漏れ日をぼかして撮ってみると、大きなリングボケがいっぱい出てきた。さらに、建物の屋根に光が降り注いでいる風景を撮ると、無数のリングが屋根の斜面を覆いつくした。丘の小道に降り積もった枯葉を写すと、葉っぱのさまざまな色の上にリングが発生し、とてもカラフルで幻想的な景色になった。

ピントを外せば外すほどリングボケが大きくなり、逆にピントを合わせると小さくなる。こうしてリングの大きさを自由に調節しながら撮るというのは、作品づくりの方法のひとつとしてかなり役に立ちそう。もっともこうした写真が撮れるのは晴天の時。あるいは、夜景のハイライトをぼかすときなど。考えれば結構応用範囲は広そうである。

まとめとして、筆者が感じたミラーレンズの良さとは、
・コンパクトでありながら大望遠撮影が可能
・望遠レンズとしては価格がお手ごろ
・今どきマニュアル撮影が楽しめる
・リングボケが味わえる
・人に自慢できる
などが挙げられるだろう。
課題としては、
・レンズが暗い
・絞りが固定
・画質のシャープさがいまひとつ
といったところだ。

ふつうに高画質でシャッターチャンス重視なら、従来の望遠レンズがお勧め。ちなみに筆者が所有しているのは、
・200mm F2.8
・300mm F4
そして今回購入した
・ミラーレンズ400mm F8
前二者は明るいレンズなので、曇り、雨の日、夕方など暗いシチュエーションでその強さを発揮する。やはり、撮影の幅を確保するにはミラーレンズと明るい望遠レンズの併用がいいのではないか。

カメラ売り場に行くと、カメラ本体以上にレンズもたくさん種類がある。さらに、特殊効果フィルターなどもあったりする。機材をいろいろ駆使するだけで、相当に個性的な写真が撮れるので、写真好きな方は是非いろいろなアイテムを試してはいかがだろう。
(羽石竜示)