『唐辛子ワイン』は、甘くて辛い。

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この季節、仕事から帰って冷えた体を温めたい時。一体、どうする? あまり、むやみに暖房は付けたくない。本当はお風呂でも入ればいいのだが、ちょっとクタ〜っとさせてください。
そこで登場するは、お酒だ。アルコールを注入し、体の中からポカポカにしたい。そこに、体の温まる食材が含まれていたらどうする? そうだなぁ、例えば唐辛子とか……。

別にそれを目的に造った訳じゃないだろうけど、このカップリングは既に実現していた。島根県出雲市の「島根ワイナリー」が1月27日より発売しているのは、そのものズバリ『唐辛子ワイン』である。

唐辛子のワイン、かなり興味深い! でも何をきっかけに、このような新ワインを?
「今まで当社では、県特産品を使ったワインを製作しておりました。今回はその第3弾です。『島根と言えば……』といった食材を色々と試していく中で、唐辛子にもチャレンジしました」(同社・担当者)
ワインとして商品化できる食材を試していくと、どうしても合うものと合わないものが出てくるのは必然。その点、唐辛子は合ったようだ。そこからは試行錯誤を重ね、1年がかりで開発に成功した。

ところで、今回のワインに使われた唐辛子について。島根の特産というが……。
「全国でも有数の唐辛子の産地に、島根県雲南市があります。そこで穫れた大型の韓国系唐辛子『オロチの爪』は、雲南市のブランド唐辛子です」(担当者)
島根にはヤマタノオロチ伝説があるが、これを由来に名付けられた唐辛子だそうだ。この『オロチの爪』をデラウエアを主体としたワインに漬け込んだものが、今回の『唐辛子ワイン』。

う〜ん、聞けば聞くほど興味深い。ところで、肝心なことを聞いていなかった。このワインは、どんな味? 唐辛子だけに、ムチャクチャ辛かったりして……。
「甘口に仕上げています。口に含むと甘さが感じられますが、その後に唐辛子の辛さがピリリと効いてきます」(担当者)
ワインで「辛い」というと、酸味が効いたものを指すのが一般的。しかし、このワインに限っていえば、そういう意味の「辛い」じゃない。従来の意味での「辛い」。珍しいワインだな!

それにしても、話を聞いているだけでウズウズしてくる。実際に、自分の舌で試したい。当然、取り寄せました。飲みますよ、『唐辛子ワイン』を!
蓋を開けると、香りは普通だな。特に、唐辛子の匂いはしない。グラスに注ぐと、白ワインであることが判明。これを、早速ゴクリと……。うわ、すぐに来た。ノドに、ピリリと辛みが! これ、甘口か? あぁ、そう言われれば口の中は甘いかも。ノドじゃなくて、舌の上辺り。口内に広がり、鼻に突き抜けるのはフルーティな甘みだった。要するに、辛みと甘みが別方向から同時に攻めてきた! みたいな感じ。こりゃ、カルチャーショックだよ。
ただ甘みと辛みは、決してケンカしていない。そして、「甘みと辛みの結晶」という印象でもない。同じタイミングで2つの味が、別々にやって来た。そんな珍しいインパクトが、このワインにはある。とにかく、ビックリ!!

そして、強調しておきたい。美味しいのです。すごく飲みやすい。デラウエアによる効果か、非常に爽やかなテイストもありつつ、甘みは強烈過ぎない。ワイン初心者でも好んでゴクゴク行けると思うなぁ。ちなみに、アルコール度数は12%です。

そんな『唐辛子ワイン』は、島根ワイナリー売店「バッカス」および県内外の酒販店、もしくは同社のホームページにて購入することができる。価格は840円(税込み)。

ちなみに同社が開発した「県特産品を使ったワイン」の第1弾は、紅茶の茶葉を漬けた『紅茶ワイン』だったそう。第2弾は、しょうがを使った『ジンジャーワイン』。そして、今回の『唐辛子ワイン』と来ている。
では、第4弾は何だろう。想像を超えたものが登場するか? これからも、島根のワインから目が離せない。
(寺西ジャジューカ)