ガソリンの入れ方がわからない金髪女性に失笑するレジ待ち客
ブロンド ジョークというのをご存知でしょうか。金髪女性をからかう、悪趣味でいじわるな冗談のことで、欧米ではよく耳にするものです。とりわけドイツ語圏では、「ブロンド(=金髪)」と「ブロート(=まぬけ、あほう)」という単語が似ているせいか、この2つの単語をひっかけたジョークもよく聞かれます。
3人の女性が、ウソ発見機にかけられています。
黒髪の女性「私が考えるに、私は世界一の才女です」。機械「ブブー!(=ウソの判定音)」
栗毛の女性「私が考えるに、私は世界一の美女です」。機械「ブブー!」
金髪の女性「私が考えるに、」。機械「ブブー!」
これはブロンド ジョークのほんの一例ですが、意味、おわかりですか? オツムの弱い金髪女性には、そもそも「考える」なんていう行為はできないよ、という皮肉です。
さて、話は変わりますが、ある月曜日の夕刻、私はガソリンスタンドに行きました。毎週月曜は、ガソリン代が最安値になることが多いからです。ドイツのガソリンスタンドはセルフ給油。最近は、「給油サービスいたします」という看板も見かけるようになりましたが、給油してくれた店員にチップを払うことを考えると、結局は自分で給油ホースを握るドライバーが大半のようです。もっとも、ホースをポンと給油口に差し込めば、満タンになった時点で自動的にストップしますから、技術的に難しいことは何ひとつありませんが。
月曜夕方のガソリンスタンドには、安さ目当ての車が行列を成しています。ようやく私の順番が回ってきたので、手早く給油を済ませ、精算のために店内へ入ったものの、レジ前にもまた行列。不機嫌この上ない顔が並ぶ列の最後尾に、私もしぶしぶ立ちました。
するとそこへ、青い顔をした金髪女性が飛び込んできました。「給油機が故障していて、ガソリンが出てきません! 何とかして下さいよ!」。それを聞いた男性店員は、「おやおや、ガソリン、出てきませんか〜?」と、 まるで慌てる様子がありません。レジ待ち客も、みんなニヤニヤ笑っています。そんな周囲の反応にカチンときたのか、金髪女性は憤慨した口調で続けました。「何も、今日初めて給油にきたわけじゃありません! 給油方法はよく知ってますからね、私!」
男性店員は、「はいはい、では一緒に見に行きましょうか」と、金髪女性と店を出ていきました。2名が店外に出たところで、レジ係の女性が笑いをこらえつつ、「今の女性、ブロンドだったみたいですね〜」と言うと、レジ待ち客も一斉に吹き出しました。故障しているのは給油機ではなくて、金髪女性の頭の方じゃないかと言わんばかりの顔つきです。外を見ると、いとも簡単に給油する男性店員の傍らで、所在なげに立ちつくす金髪女性の姿が見えます。
「俺もかつては金髪だったけど、もうすっかり無くなっちゃって以来、ドジを踏まなくなったよ」なんて、ツルツルの頭をなでながら軽口をたたく男性客もいて、イライラの骨頂のはずのレジ待ち行列が、笑いの渦につつまれます。
その後しばらくして、私がレジでお金を払う順番になりました。「私は金髪ではないので、給油も精算もひとりでできますよ」と言うと、「そういうお客さんばかりだと、店の方も助かるんですがね」と、レジ係もニヤニヤ顔です。支払い手段はクレジットカード。ところが、カードを読み取り機に差し込む際に、カードをうっかり裏返しに挿入してしまった私。ピピー! っと大きなエラー音が鳴り響きました。
「あらまあ、お客さん! 実は、お客さんも、金髪を染めただけなんじゃありません?」と、すかさず切り返すレジ係。ここでまたもや、一同大笑いとなりました。
(柴山香)
3人の女性が、ウソ発見機にかけられています。
黒髪の女性「私が考えるに、私は世界一の才女です」。機械「ブブー!(=ウソの判定音)」
金髪の女性「私が考えるに、」。機械「ブブー!」
これはブロンド ジョークのほんの一例ですが、意味、おわかりですか? オツムの弱い金髪女性には、そもそも「考える」なんていう行為はできないよ、という皮肉です。
さて、話は変わりますが、ある月曜日の夕刻、私はガソリンスタンドに行きました。毎週月曜は、ガソリン代が最安値になることが多いからです。ドイツのガソリンスタンドはセルフ給油。最近は、「給油サービスいたします」という看板も見かけるようになりましたが、給油してくれた店員にチップを払うことを考えると、結局は自分で給油ホースを握るドライバーが大半のようです。もっとも、ホースをポンと給油口に差し込めば、満タンになった時点で自動的にストップしますから、技術的に難しいことは何ひとつありませんが。
月曜夕方のガソリンスタンドには、安さ目当ての車が行列を成しています。ようやく私の順番が回ってきたので、手早く給油を済ませ、精算のために店内へ入ったものの、レジ前にもまた行列。不機嫌この上ない顔が並ぶ列の最後尾に、私もしぶしぶ立ちました。
するとそこへ、青い顔をした金髪女性が飛び込んできました。「給油機が故障していて、ガソリンが出てきません! 何とかして下さいよ!」。それを聞いた男性店員は、「おやおや、ガソリン、出てきませんか〜?」と、 まるで慌てる様子がありません。レジ待ち客も、みんなニヤニヤ笑っています。そんな周囲の反応にカチンときたのか、金髪女性は憤慨した口調で続けました。「何も、今日初めて給油にきたわけじゃありません! 給油方法はよく知ってますからね、私!」
男性店員は、「はいはい、では一緒に見に行きましょうか」と、金髪女性と店を出ていきました。2名が店外に出たところで、レジ係の女性が笑いをこらえつつ、「今の女性、ブロンドだったみたいですね〜」と言うと、レジ待ち客も一斉に吹き出しました。故障しているのは給油機ではなくて、金髪女性の頭の方じゃないかと言わんばかりの顔つきです。外を見ると、いとも簡単に給油する男性店員の傍らで、所在なげに立ちつくす金髪女性の姿が見えます。
「俺もかつては金髪だったけど、もうすっかり無くなっちゃって以来、ドジを踏まなくなったよ」なんて、ツルツルの頭をなでながら軽口をたたく男性客もいて、イライラの骨頂のはずのレジ待ち行列が、笑いの渦につつまれます。
その後しばらくして、私がレジでお金を払う順番になりました。「私は金髪ではないので、給油も精算もひとりでできますよ」と言うと、「そういうお客さんばかりだと、店の方も助かるんですがね」と、レジ係もニヤニヤ顔です。支払い手段はクレジットカード。ところが、カードを読み取り機に差し込む際に、カードをうっかり裏返しに挿入してしまった私。ピピー! っと大きなエラー音が鳴り響きました。
「あらまあ、お客さん! 実は、お客さんも、金髪を染めただけなんじゃありません?」と、すかさず切り返すレジ係。ここでまたもや、一同大笑いとなりました。
(柴山香)