日本が女子W杯で優勝してから、今日で5日が経った。彼女たちが成し遂げた偉業については、改めて言うまでもない。本当に素晴らしいの一言だ。あの日以来、メディアはなでしこジャパンのオンパレードとなっているね。

メディアは、ニュースが生活の糧だ。他のスポーツがあまり盛り上がっておらず、世界水泳までの空白期間の今、なでしこジャパンは格好のターゲットとなっている。過去最大とも言ってもいいフィーバー状態だ。当然予想されたこと、また懸念されていたことではあるけど、あまりにエスカレートしている印象を受けるね。

数字が取れなくなるまで、彼女たちを使い倒すのだろう。継続的に女子サッカーを取り上げていこうという姿勢など、微塵も感じられない番組構成が目立つ。女子サッカーの継続的な発展を願うなら、取材のポイントは変わってくるはずだよ。熊谷の宴席での様子がツイッターにアップされて一騒動になったが、澤の過去のボーイフレンドにコメントを求め、無闇に取り上げるマスコミのほうが性質が悪いと思うのは僕だけかな。

今回の優勝での経済効果は、1兆円とも2兆円ともいわれている。果たしてそのお金はどこへいくのだろうか。彼女たちにフィードバックされたのは、わずかばかりのボーナスのみだ。

サッカー協会も彼女たちも、あまりの過熱ぶりに、自分たちでもわけのわからない状態になっているんじゃないかな。なでしこジャパンは、スクラムを組んで、自分たちをもっと高く売っていい。このままでは本当に、使い捨てにされるだけだ。あれほどの偉業を達成した彼女たちが、そんなふうに捨てられるのは見てられないよ。


最後に一つ。日本中がなでしこフィーバーで盛り上がる中、僕の友達であるラモス瑠偉の奥さん、初音さんが亡くなられた。彼女のことは、独身時代から知っている。外国人が日本に来て、そこで仕事をし、生活するのは簡単ではない。初音さんはそんなラモスに寄り添い、一人の妻としてだけでなく、ときに母親として、ときにマネージャーとして、ラモスのすべてを支えていた。外国人であるというハンディを、全部背負ってくれていた。ラモスはあのとおり熱い人間だから、彼女を愛す気持ちも人一倍強かったろうし、今の落ち込みぶりを想像するに胸が痛い。初音さんのご冥福をお祈りします。