加藤夏希(撮影:野原誠治)
ファッション誌『Zipper』に連載された原作漫画を映像化した映画『パラダイス・キス』は、普通の女の子だった早坂紫(北川景子)が、ファンションモデルとなり、服飾学校生のジョージ(向井理)たちと共に、夢を目指す物語だ。この映画の中で、ジョージのライバルである麻生香の役を演じた加藤夏希。彼女は、映画の中で、何を想い、感じたのか、その心の内を聞いてみた。

――原作『Paradise Kiss』の大ファンだそうですね?

加藤夏希(以下、加藤):矢沢あいさんの作品は、大好きなんです。私は、「ご近所物語」の世代なんですよね。この作品は、少し繋がっていて、その時のキャラクターとかも出てきたりします。

――今日、初めて加藤さんとお会いしましたが、麻生香役に本当にぴったりですよね。

加藤:ありがとうございます。監督からも「なっちゃんは、いつもの感じで!」って言われて(笑)。いつもの感じってどんな感じだろうと思いながら演じていたんですけど。

――今回は、麻生香を演じていましたが、原作を読んでいて他に好きなキャラクターはいましたか?

加藤:『パラダイス・キス』は、それぞれが夢を持って向かっていくという姿が共通しているので、どのキャラクターも好きです。麻生香ちゃんは、みんなの夢を後押しするポジションでもあり、自分も自分の道を作りながら進んで行くっていうキャラクターなので好きですね。

――劇場に足を運んで頂いた方へ「麻生香のここを見て欲しい!」という部分はありますか?

加藤:彼女が作っているファッションブランドや、彼女が着ているファッションは、すごくかわいいので是非そこは注目して欲しいなと思いますね。キャラクターとしては非常に前向きで裏表がなくて、すごく自分の信念を貫いている女の子なので、映画を観た皆さんも、香ちゃんに自分の夢を後押ししてもらえると思います。

――今回の役柄は服飾学校の学生なので、実年齢よりも下の役を演じていますね。そのことについては、どう思われますか。

加藤:監督さんから「みんなよりちょっとお姉さんみたいな感じの立ち位置でいて下さい」という要望があったので、割と自分の年齢と変わらないような感じでは演じていました。でも、現場で、共演者の方がワーワーと楽しく話しているのを見て「若いな」と向井さんと話していましたね(笑)。

――加藤さんが85年生まれで、向井さんが82年生まれ。お互いに年齢が近いですよね。

加藤:現場の中でのポジショニングが「若い子たち」と「ちょっと上の人たち」の括りがあって、向井さんと私は「ちょっと上の人たち」に入っていました(笑)。

――役柄的に、香とジョージはライバルでしたが、向井さんとは撮影現場で、よくお話しされていたのですか?

加藤:そうですね。以前共演させて頂いたこともあって、結構、お話をさせて頂きましたね。現場で、向井さんは「普段はいじられキャラなのに、周りから『向井さん!』『先輩!』という感じに声を掛けられるのに慣れてない」と言っていました(笑)。

――加藤さんは、現場でどんなキャラクターだったんですか?

加藤:どちらかというと香ちゃんのキャラクターに近いような感じだったと思います。映画の撮影は、後半から参加したんです。撮影自体は1ヶ月前にスタートしていて、私が入った時は、現場が出来上がった状態でした。でも、まあ、浮いてはいなかったと思いますね。

――主演の北川景子さんについて、どんな印象を持ちましたか?

加藤:北川さんは、すごくかわいい子だな、と思いました。あまりお話していないので何とも言えないんですけど、「すごくプロ意識が高いのでは?」とも思いました。若い人たちが集まる学園ものですと、現場がぐだぐだになってしまうこともあるのですが、北川さんは、ピシッと引っ張っていっていたという印象がありますね。

――北川さんの他に、印象深かった共演者は、どなたでしょうか?

加藤:五十嵐隼士さんは、イザベラという麗しい男性の役をやったのですが、すごく様になっていましたね(笑)。女性の仕草の訓練をしたと言っていて、大変だなと思いました。

――麻生香や、ジョージたちは、チームを組んで服を作っていますよね。加藤さんはプライベートで○○部を作るのが好きと伺っていますが、もし、『パラダイス・キス』のようなことをする部活動をつくった場合、加藤さんはどんな服をデザインしますか?

加藤:今回演じた香ちゃんは、「みんなが着られる」、「明日すぐ着ていきたい」そんな洋服をかわいく、ちょっと華やかに作る女の子です。私もデザインの仕事をさせて頂いているんですけど、そういう感覚が自分にはなかったので、すごく勉強になりました。私がデザインする時は「自分が着たい」、「自分がこうだったら良いのに」みたいに自分の目線でしか物を見ていなくて…。そうじゃなくて、“着る人”のことをもっとちゃんと考え、どういう時に着たいかなど客観的に見る目が必要だなと思いました。そういう意味ではサークル活動などで、みんなで同じ服を着るのもありですね。ワンピース1着にしても、デニムを合わせたり、羽織物を合わせたり、いろんな着方があって、それぞれの個性を出して着られたら良いなと思います。

――主人公の紫が、モデルの難しさを痛感させられる場面がありますね。加藤さんもモデルをされていますが、どの辺が難しいと思いますか?

加藤:それこそ作品の中で「ただ歩けばいい、というものじゃない。1つのステージの中で、どうパラダイスとか夢の世界へ連れて行くのか。」とありましたが、結構厳しいお言葉だな、と思いました。私がショーに出る時も、同じポーズとか、同じ演出とかじゃなくて、毎回違うステージを見せたいな、と思っていて。そこは、やっぱり難しいですね。あと、「服の良さを見せる」とか、「服だけじゃなくて自分も見せる」とか、ステージのテーマにあわせて演出を考えることは難しいと思いますね。

――「服の良さ」を見せることについて、モデルが気をつける具体的な例はありますか?

加藤:そうですね。例えば、バギーのデニムを穿いていて足をクロスしちゃうとバギーが見えなくなるので、それはしないとかですかね。服によってポーズを決められたりもしています。それを自分の中で引き出しを作っていくことも難しいと思いますね。

――加藤さんが、好きな服の系統はなんですか?

加藤:なんでも好きですね。あんまりスーツとかを着る機会はないんですけど、でもパンツスタイルもするし、スカートも履くし。結構なんでも着ますね。カジュアル系だと思います。

――ジョージの作った服は着てみたいと思いますか?

加藤:派手ですよね。なかなかどこで着ようかなっていうのは悩んでしまう洋服ではあるんですけど、パーティーとか「自分が主役だ!」っていうビシッと決めたい時にはぴったりな洋服だな、と思います。