――物語の中で、紫は家出をしますが、加藤さんは家出をしたいと思ったことはありますか?

加藤:学生の頃はそれこそ自分のことを誰も知らない所に行ってみたいという願望はすごくありました。でも、お仕事をしていたので国内では無理だなと…。紫のように、反抗期ではないけど尖がってしまう時期は誰もがあるということについては、共感できます。

――若い頃からお仕事をされていますが、紫の様に「やりたいことが見つからない」というような悩みはありましたか?

加藤:あまりないですね。これ絶対にやりたい!というのが出てくるタイプなのであんまりやりたいことが見つからないっていう経験はないです。でも、高校3年生の時の同級生でそういう子が多かったですね。大学に行くにも親のレールの通りにいくみたいで嫌、かといって働きたくもない、みたいな人は多かったと思います。でもその中でも本人達は本人達ですごく悩んでいる葛藤がいろいろあるんだろうな、と思って「思う存分悩め」て思っていました。

――今の「思う存分悩め」って、なんだか香のようでしたね(笑)「みんな頑張れ!」みたいな。

加藤:そうですね(笑)。

――お仕事での悩みはありますか?

加藤:そうですね、やっぱり上手く出来なかったりとか、自分なりに満足いったと思うのに仕上がりを見ると違っていたりとか。凹むというか悩むというか、というのは毎日あります。

――初めて雑誌やテレビに出演した時の気持ちは覚えていますか?

加藤:小学校6年生の時に、ゲーム雑誌でゲームの紹介をしたんですけど、恥ずかしかったですね(笑)。テレビも自分が映っていることに違和感がありました。テレビに自分が映るのはホームビデオでしか見たことなかったのに、なんかそうじゃない自分がいるというのは恥ずかしいです。

――「やったー!」というよりも「ちょっと恥ずかしい」という気持ちになるのですか?

加藤:恥ずかしいですね。それは未だにあります。「テレビ観たよ」って言われると、「わぁ、恥ずかしい」ってなりますね。自分を知っている人に自分じゃない自分を観られるのが恥ずかしいというか。自分でも自分の出たテレビは、なるべく観ないようにしています。見ると反省会になるので(笑)

――物語でも選択に悩むところがありますが、ずばり、「恋」と「夢の仕事」の選択を迫られた場合どうしますか?

加藤:それは、演じながらすごく思いましたね。夢の妨げになるから恋愛は諦めて、自分の夢を貫くというのは、なかなかそれをやったところで、その夢が実現するかどうかとか不安要素はたくさんありますし。だったら今を楽しもう、と思いがちですけど、どうだろうなぁ。どっちをやりたいか、ですね。その時の自分の気持ちに任せちゃえ!って思います。恋愛だったら、今は恋愛する時だ、と思って恋愛を楽しむし、すごくこの仕事やりたい!と思うとそこだけに没頭する。結構単細胞なので、1個のことしか考えられなくて、今これだ!と思ったらもうそのことしか考えられなかったりしますね。

――恋愛の方だと、紫は、ジョージと徳森くんという2人の男性の間で揺れ動きますが、加藤さんは、どちらが好みですか?

加藤:難しいな。どっちも大変ですよね。でも、私は徳森くんかな。安定した家庭を築きそうな印象がありますから。分けるなら、恋愛はジョージとしたいけど、結婚は徳森くんとしたいという感じですかね。

――どんな人にこの映画を観て欲しいですか?

加藤:おしゃれが大好きな男女もそうですし、やりたいことが見つからないという方にもおすすめですし、やりたいことや夢はあるけどなかなか自信が持てない方にも観て欲しいですね。やりたいことをこんなに楽しくやっている人たちが集まった映画なので、作品を観て、是非背中を押してもらって一歩二歩、前に進んでもらえたらな、と思います。

――高校生や新社会人、OLなど年代によって見方が変わる映画ですよね?

加藤:そうですね。学生なんかは非常にダイレクトな年齢ですよね。「こういう風になりたいな」と、ちょっと目上の先輩を見る感じ。多分、卒業したら何しようとか、学生の時はあまり考えないじゃないですか。でも、夢を持って学生生活を過ごしているとこんなにキラキラ輝いて見えるので、ぜひ夢を見つけるきっかけになって欲しいと思います。私ぐらいの年齢の人だと、「夢に向かって第一歩を踏み出し始めた」という人が多いと思うので、この作品と共に成長して欲しいです。30代の方は、学生の頃にあれやりたかったんだよな、とか、こうしたかったんだよな、とか、ふと思い出す夢があると思うので、それに再チャレンジするきっかけにして頂けたら嬉しいです。

――これから映画を観る方にメッセージを御願い致します。

加藤:とても勇気やパワーがもらえる作品になったらいいなと思って作ったので、この映画を一歩踏み出すきっかけにしてもらいたいと思いますね。あと、向井さん演じるジョージは本当に“いい男”なので。“いい男”が“いい男”役をやっているのでとことん惚れて、観終わったらちょっと恋した気持ちになってもらいたいですね。 

――加藤さんも“いい女”が“いい女”役をやっていましたね。

加藤:本当ですか(笑)。

 モデルとして活躍していることもあり、稟とした美しさがある加藤夏希。しかし、よく笑い、楽しげにインタビューに答えてくれる彼女は、まさに「麻生香」そのもののようであった。麻生香やたくさんの若者たちの、夢や恋が詰まった映画『パラダイス・キス』は、6月4日、全国公開となる。

映画『パラダイス・キス』 - 公開情報