大阪府に残る唯一の「村」 生き残りをかけた9年ぶりの職員募集!

写真拡大 (全4枚)

国が進めた市町村合併によって、全国にあった多くの町や村が姿を消した。総務省の発表によると、2010年4月1日現在で村の数は184。
1999年4月1日現在のデータだと568村だったので、もう5分の1ほどしか残っていないことになる。
そんな中、大阪府にある千早赤阪村は、市町村合併のさまざまな動きを経て、いまだ大阪唯一の村として存続している。
 
千早赤阪村は、大阪府南東部に位置し、人口6,272人(2010年7月1日現在)。大阪でありながら豊かな自然にあふれ、府下最高峰の金剛山(標高1,125m)へは夏は避暑に、冬は雪が降ることもあって耐寒にと登山で訪れる人々は多い。
また『太平記』に登場する武将・楠木正成ゆかりの史跡もある。
 
だが、千早赤阪村の現状は厳しい。まず、65歳以上の高齢者の割合が人口の3割を超える一方で、子どもの数がどんどん減ってここ3年で4つあった小学校が2校になり、典型的な“少子高齢化”が進む。
村の担当者によると「1クラスあたりの生徒数で1ケタ台が当たり前になったり、学年によって女子ばかりのクラスになってしまったり。あまり少ないと競争心も芽生えないし、廃統合してやっとなんとか維持している状況」という。

また、村の広報紙はA3モノクロ一枚の両面刷りで、必要最低限の情報のみ載せている。変更当時「ここまで財政難で切り詰めるのか」などと話題になったそうだが、村民からの苦情などは一切なかったという。
 
そして今年、9年ぶりの村職員募集に踏み切った。その理由が、84人いる職員で20代がたった1人で、ほとんどが30代後半と50代で職員構成のバランスが著しく偏っていることによる。
厳しい財政状況の中、職員1人当たりの仕事量が増え、地域活性化どころか村民へのサービス低下なども懸念される。
募集は先日締め切られたが、昨今の就職難もあって120人が応募し、大阪府のみならず首都圏からの応募もあった。
村では5人程度の採用を予定している。

「村役場を見ると元気がない」―村民のなにげない言葉に危機感を抱く村は、生き残りをかけて新しい人材に期待をかける。
千早赤阪村には、大阪から十分日帰りできる観光スポットがたくさんある。

例えば“日本で最も小さな道の駅”といわれる「道の駅ちはやあかさか」をはじめ、日本棚田百選に選ばれている「下赤阪の棚田」から一望する眺めはすばらしい。
 
また、健康ブームもあって「金剛山」に登る中高年のリピーターは増えており、金剛山登山口近くにある「千早川マス釣り場」ではニジマス釣りができてその場で調理もしてくれることで人気だ。
さらに歴史好きの“歴士”“歴女”には、楠木正成の生誕地や史跡めぐりもおすすめ。
 
なにより、いつも村を訪れると、大自然の中でマイナスイオンをたくさん浴びてリフレッシュできる。春はさまざまな花が咲き、夏は猛暑でも過ごしやすく、秋は紅葉、冬は樹氷も楽しめて四季がしっかり感じられる。
山の豆腐や温州みかんなどの特産品もあるので、いまや大阪でたった1つ残る貴重な村に足を運んでみてほしい。
千早赤阪村へは、近鉄富田林駅もしくは南海河内長野駅から路線バスが運行されている。
(Written by 飾磨亜紀 Aki Shikama)


【Nicheee!編集部のイチオシ記事】
日本一低い山「天保山(4.5m)」には、山岳救助隊がいる
マシュマロ専門店の「マシュマリスト」
「サイタマ」ブランドの美少女たち
【発掘美女図鑑】木版画職人 原田裕子
静岡県ではみんな知ってる!? アートな運動「ロダン体操」