チーム結成当初に「25名から30名くらいのグループを作る」と話していた岡田監督は、Ｗ杯予選突破後も成熟度を高めるためにメンバーを固定していった。それ自体は批判されるものでないものの、メンバーを固定していった弊害として、オプションになりうる選手に充分なテストの時間を与えることができなかった。

テストマッチで一度も試していない本田の１トップで大会へ臨むのは、客観的な視点に立てば大変なギャンブルである（大会直前のジンバブエ戦は、国際Ａマッチではない練習試合）。結果が出なければ、場当たり的との指摘は免れなかったはずだ。また、チームがグループリーグを突破していく一方で、システム変更によって使いどころが見つけにくい選手も登場してしまった。

本田と並ぶ功労者にあげられる阿部にしても、そもそも彼が備えているポテンシャルや、Ｊリーグで磨かれてきた個人戦術をＷ杯で発揮したと言うほうが妥当だ。岡田監督が彼の新たな魅力を引き出したわけではないし、１ボランチこそが彼の適正ポジションでもないだろう。

中村俊輔のコンディション不良という想定外の状況下で、岡田監督はチームを立て直した。それは間違いない。どのようなやり方にせよ、ベスト16入りは一定の評価を与えられるものだ。

ただ、「接近・展開・連続」から始まったキーワードは時間の流れに埋没し、「日本人の良さを引き出す」という前提に立ったコンセプトは、突然のフォーメーション変更で一気に瓦解した。本当の意味で日本人の可能性を引き出したか、「日本サッカーの日本化」を具現化したかを見つめれば、僕の答えは「ＮＯ」である。すでに新監督の選定は具体化しているが、岡田監督の功罪はきっちりと分析されなければならない。このままでは、オシムの新監督就任に舞い上がった4年前と同じである。

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