見るからに弱い相手と、楽勝ゲームを繰り返し、肝心の本大会ではノルマも課されない。これで3億ウン千万を手にする代表監督は、このご時世、美味しすぎる仕事と言わざるを得ない。

 そうした意味で、昨日のバーレーン戦は、まったくもって物足りない試合だった。

 バーレーンは人口80万人弱の小国。で、繰り返すが、ベストメンバーではなかった。まさに、「42戦6敗」を象徴する相手だった。バリバリのベストメンバーで組む、人口1億2千7百万人の大国・ニッポンを相手に、0−2で敗れたことに違和感はまるでない。この順当すぎる敗戦を、1面で喜ぶ必要はあるのか。

 岡田サンは、事無きを得た。騒動はこれによって終止符が打たれた格好だ。彼を救ったのが、本田圭佑である点に、皮肉を覚えるのは、僕だけではないはずだ。

 彼のチャンピオンズリーグでの活躍は、「ブーイング」騒動の直後。苦境に追い込まれていた岡田サンにとっては、渡りに船と言うべき、願ってもないタイミングだった。試合後の記者会見で岡田サンは、本田の2点目のゴールを「他の誰が取るよりも嬉しかった」と語ったが、現金な人とはこのことを指す。岡田サン自身が、手塩にかけて育てた選手じゃあないんだから。

 世間が認める前に、言えと言いたい。

 チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦という、大舞台での活躍を確認し、青信号の輝きを確かめるや、一転、扱いを変えたわけだ。

 移籍してきたばかりの本田を一目見るや、いきなりスタメンで起用したチェスカ・モスクワの監督さんの方が、見る目は断然上。少し冷静に考えれば、そういうことになる。

というわけで、バーレーン戦の採点です。
 
GK楢崎  5.5 フィードに正確性を欠くシーンも。
DF内田  5.5 輝いたのは2点目のアシストぐらい。
DF中澤  5.5 攻撃の組み立てにほとんど絡めない専守防衛型は、今日的とはいえない。
DF闘莉王 5.5 半分近い時間、ディフェンシブハーフより高い位置でプレイしていた。彼のポジションはどこなのか。本大会では大きな穴になりそうだ。
DF長友  5.5 その攻め上がりは場当たり的。内田もそうだが、チームと連動していないので、部外者に見える。
MF長谷部 5.0 プレイが素直。正直すぎる。相手の陣形の逆を突くプレイが欲しい。
MF遠藤  5.0 半分近い時間、闘莉王と入れ替わりで、ストッパーのポジションにいた。それでいいのだろうか?
MF松井  6.0 一時期薄れていた存在感を回復した。
MF中村俊 5.0 ボールを奪われすぎ。致命的なパスミスも1度あった。もともとない馬力が、さらに低下した感じだ。
MF本田  6.5 中央部に太い幹が一本通った感じ。何かしそうな気配を漂わせた。
FW岡崎  5.0 先制点を叩き出したが、それ以外は……。少なくとも4−2−3−1の3のサイドは不適格。

※ 交代選手

FW森本  5.5 残り試合は少ないのだから、先発で使うべき。安全策でスタートした岡田サンは小心者だ。
FW玉田(採点不能)2人目の交代が、残り3分での出場。で、3人目の交代は行わず。岡田サンは時間を無駄に過ごしている。

岡田監督 4.5 半分練習試合のような試合だというのに、メンバー交代は実質1人。結果を怖がったとしか言いようがない。先日の騒動で「残り4か月を切った時点で監督を代えるのはリスキー」との意見が出たが、一歩進むのに何ヶ月も費やす岡田サンのような時間の使い方に慣れてしまえば、そう思うのも無理はない。しかし、もう少し時間の使い方が上手い監督は、世界にはいくらでもいる。岡田サンの4か月分を、1か月でクリアする人はいる。代表監督のスタンダードを上げるためにも、一流監督の招聘は必要なのである。

 さらに文句を続ければ「残り4か月を切った時点で、監督を代えるのはリスキー」と言う人が、これまで、交代を唱えてきたのなら納得できる。交代を唱えてきたけれど、さすがに4か月では厳しいと言うのなら分かる。

 似たようなことは「悪いのは監督だけじゃない」という人にも言える。岡田批判をさんざんしてきた人が、たまに、でも悪いのは監督だけじゃないんだよ、と言うならオッケーだ。僕もその1人になる。しかし、一度も監督批判をしたことがないにそう言われるとガックリする。まっ、他にも言いたいことはあるけれど、本日はこのぐらいにしておこう。  

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