【最新ハイテク講座】サイクロンからロボットまで!ハイテク掃除機の最新事情
掃除機といえば、戦後の家庭において三種の神器と言われた電化製品のひとつだ。部屋を掃除することが目的だった掃除機は今日、健康を守る道具として進化しようとしている。
近年の掃除機のハイテク技術には驚くべきものがある。竜巻のような風をおこしてホコリを吸うサイクロン方式、水や泥を吸い取る機構など新しい機能を備えてきた。なかには自動充電機能付きのロボット掃除機まで登場しているのだ。
そこで今回は、掃除機の歴史とともにそのハイテク技術に迫ってみよう。
■掃除機の歴史とそれを支える技術
掃除機はどのようにして生まれたのだろうか。また掃除機にはどのようなハイテク技術が使われているのだろうか。
●50年の歴史 - 掃除機のはじめて
世界最初の掃除機には諸説あるが、米国のへリックが1858年に考案した絨毯用掃除機が世界初とされる。その後、米国のゼネラルコンプレスト・エア&バキューム(GE)が1899年に発明したアップライト型真空掃除機は、空気ポンプを利用しており現在の掃除機と基本原理はほとんど変わらないから驚きだ。
国産第一号の掃除機は1931年、東芝の前身である芝浦製作所がGE製の掃除機をベースに開発された。掃除機の先端は吸込用の床ブラシとモーターが一体化され、車輪が付いていた。手で軽く押すだけで掃除ができ、柄の角度も自由に変えられるようになっていた。ちなみに価格は、当時の大卒初任給の約2ヶ月分に当たる110円と、大変高価な家電だった。
・東芝科学館 - 東芝一号機ものがたり:わが国初の電気掃除機- - 東芝
●掃除機を支える技術
掃除機の大半は、ファンを取り付けたモータを回転させて空気を押し出し、負圧(周囲の空気との圧力差)を使用してゴミを空気と一緒に吸い込んでいる。
掃除機の吸い込み能力は、掃除機内を通過する風量とファンが作る真空度に比例する。各メーカーでは、吸い込み能力を高めるために独自の工夫を施している。一般の電気掃除機では扇風機のようなプロペラファンの代わりに多数の翼板を取り付けたターボファンを使用している。
周囲の空気を回転する翼板でとり入れ、固定された案内羽根で空気を排出して周囲の空気との圧力差を生み出している。通常、吸い込み口には風速50〜60m/秒ほどの空気が流入する。
●掃除機の種類
掃除機は、ゴミをためる方式の違いから次の2種類に大別できる。
・紙パック方式
ゴミをためる場所が紙パックの掃除機。掃除機内にたまったゴミは紙パックごと捨てられるので、ゴミが舞い上がる心配がなく、手が汚れにくい。ゴミがたまってくると吸引力が落ちるが、紙パックがフィルターの役割も果たしているのでメンテナンスも簡単に行える。
掃除機の機種ごとに使用できる紙パックが異なるので専用の紙パックを使用する必要があり、後述するサイクロン式に比べてランニングコストはかかる。
最近ではメーカー純正ではない紙パックがサードパーティーから販売されている機種もあり、100円均一のショップで購入できる紙パックも登場している。
・サイクロン式
掃除機内でサイクロン(竜巻)状の風をおこし、吸い込んだゴミと空気を遠心力で分離する掃除機。サイクロン式の掃除機は1983年、英国の産業デザイナーであるサー・ジェームズ・ダイソン氏によって開発され、世界で最初に日本で発売されている。
長所は掃除機内にゴミがたまっても吸引力は落ちにくく、紙パックを必要としないため経済的である。短所は集塵容量が少なく、定期的にフィルターを掃除する必要があることだ。
■最新のハイテク掃除機 大集合
最新のハイテク掃除機には、どのような製品があるのだろうか。各メーカーが販売する最先端のハイテク掃除機をまとめてみた。
●床上30cmのハウスダストもお掃除 - 松下電器
ハウスダストとは、室内塵のことで人やペットの皮膚(フケ)、カビ、ダニ、および細菌などが混ざったものだ。近年問題となっているアレルギーを引き起こすいくつかのアレルゲンが混合したものも「ハウスダスト」と総称されている。
ハウスダストは床上30cmの空間に浮遊しやすく、人が5分間歩くだけでもかなりの量のハウスダストが舞い上がると言われている。歩き終えた後も数分間はハウスダストが室内に残留している。
松下電器の「エアダストキャッチャー」は、掃除機のノズルの上部に備えられたハウスダスト専用の機構で、床面のハウスダストとともに床上30cmにあるハウスダストを綺麗に取り除くことができる。
・新開発エアダストキャッチャー - 松下電器
●プラズマ放電とナノテクを駆使 - 日立
日立のロボットサイクロン「CV-RS1」はプラズマ放電を利用し、チリの集塵力を高めている。具体的に説明すると、プラズマ放電ユニットから放出された電子群がプラスに帯電したチリ同士を結合させて大きくしてフィルターで捕集する仕組みだ。さらにニオイの分子を分解するナノチタン触媒やナノプラチナ触媒により、掃除と同時にペットやタバコといった生活臭も分解してくれる。
これらの機能により、ハウスダストや細菌、ウイルスを逃がさず綺麗に掃除ができるそうで、信州大学の電気泳動法による試験では掃除機内に取り込んだアレル物質を99%以上分解できたとしている。
●ロボット掃除機「ルンバ」- アイロボット
掃除機でしっかりと掃除したつもりでも部屋の隅やカーペットの奥などには目に見えないホコリやチリが残っている場合が多い。そんなホコリやチリを逃さずに掃除するために制作された掃除機がアイロボットが開発したロボット掃除機「ルンバ」だ。
ルンバは米国特許のロボット知能「AWARE」を搭載した掃除機ロボット。壁センサーや段差センサー、ゴミセンサーなど数十種のセンサーを通して得た情報から現在の部屋の状況を判断して動きを制御する。ルンバが備える「3段階クリーニングシステム」では、かきだす・かきこむ・吸いとるの3種類の掃除を同時に実行する。
まず、6本のエッジクリーニングブラシが側面から飛びだし、壁際や部屋のコーナーなど取りにくいゴミを前方にかきだす。絨毯では毎分1000回転のメインブラシ、フローリングでは毎分1600回転のフレキシブルブラシを主に使用してゴミを内部のダスト容器にかきこむ。最後に1mm幅にまで狭くした吸引口がワイパーのように床面に密着して強力にゴミを吸い取る。
メーカーの調査によると、その清掃力の高さと優れた機能性により世界40カ国、250万以上の家庭で愛用されているそうだ。
・自動掃除機ルンバ - セールス・オンデマンド
今や掃除機は、単に掃除をするものから、安全で健康な環境を確保するための機器に生まれかわろうとしている。内部には最先端の技術を取り入れたハイテク家電なのだ。
参考:
・掃除機 | ルンバ (掃除機) - ウィキペディア
・掃除機の歴史 - 松下電器
・第96回「電気掃除機と磁石」の巻 - TDK
■こちらもオススメ!最新ハイテク講座 最新ニュース
・レーザーマウスから指マウスまで!ハイテクマウスの最新事情
・もはや「ICカード」時代!急速に生活に入り込んだICカードのハイテク度
・全自動からオゾンの力まで!ハイテク洗濯機の最新事情
・ケータイにも採用!紙のように曲がる不思議なディスプレイ「電子ペーパー」
・なぜ、体の中の脂肪量がわかるのか?「体脂肪計」
・【最新ハイテク講座】記事バックナンバー
Copyright 2008 livedoor. All rights reserved.
近年の掃除機のハイテク技術には驚くべきものがある。竜巻のような風をおこしてホコリを吸うサイクロン方式、水や泥を吸い取る機構など新しい機能を備えてきた。なかには自動充電機能付きのロボット掃除機まで登場しているのだ。
■掃除機の歴史とそれを支える技術
掃除機はどのようにして生まれたのだろうか。また掃除機にはどのようなハイテク技術が使われているのだろうか。
●50年の歴史 - 掃除機のはじめて
世界最初の掃除機には諸説あるが、米国のへリックが1858年に考案した絨毯用掃除機が世界初とされる。その後、米国のゼネラルコンプレスト・エア&バキューム(GE)が1899年に発明したアップライト型真空掃除機は、空気ポンプを利用しており現在の掃除機と基本原理はほとんど変わらないから驚きだ。
国産第一号の掃除機は1931年、東芝の前身である芝浦製作所がGE製の掃除機をベースに開発された。掃除機の先端は吸込用の床ブラシとモーターが一体化され、車輪が付いていた。手で軽く押すだけで掃除ができ、柄の角度も自由に変えられるようになっていた。ちなみに価格は、当時の大卒初任給の約2ヶ月分に当たる110円と、大変高価な家電だった。
・東芝科学館 - 東芝一号機ものがたり:わが国初の電気掃除機- - 東芝
●掃除機を支える技術
掃除機の大半は、ファンを取り付けたモータを回転させて空気を押し出し、負圧(周囲の空気との圧力差)を使用してゴミを空気と一緒に吸い込んでいる。
掃除機の吸い込み能力は、掃除機内を通過する風量とファンが作る真空度に比例する。各メーカーでは、吸い込み能力を高めるために独自の工夫を施している。一般の電気掃除機では扇風機のようなプロペラファンの代わりに多数の翼板を取り付けたターボファンを使用している。
周囲の空気を回転する翼板でとり入れ、固定された案内羽根で空気を排出して周囲の空気との圧力差を生み出している。通常、吸い込み口には風速50〜60m/秒ほどの空気が流入する。
●掃除機の種類
掃除機は、ゴミをためる方式の違いから次の2種類に大別できる。
・紙パック方式
ゴミをためる場所が紙パックの掃除機。掃除機内にたまったゴミは紙パックごと捨てられるので、ゴミが舞い上がる心配がなく、手が汚れにくい。ゴミがたまってくると吸引力が落ちるが、紙パックがフィルターの役割も果たしているのでメンテナンスも簡単に行える。
掃除機の機種ごとに使用できる紙パックが異なるので専用の紙パックを使用する必要があり、後述するサイクロン式に比べてランニングコストはかかる。
最近ではメーカー純正ではない紙パックがサードパーティーから販売されている機種もあり、100円均一のショップで購入できる紙パックも登場している。
・サイクロン式
掃除機内でサイクロン(竜巻)状の風をおこし、吸い込んだゴミと空気を遠心力で分離する掃除機。サイクロン式の掃除機は1983年、英国の産業デザイナーであるサー・ジェームズ・ダイソン氏によって開発され、世界で最初に日本で発売されている。
長所は掃除機内にゴミがたまっても吸引力は落ちにくく、紙パックを必要としないため経済的である。短所は集塵容量が少なく、定期的にフィルターを掃除する必要があることだ。
■最新のハイテク掃除機 大集合
最新のハイテク掃除機には、どのような製品があるのだろうか。各メーカーが販売する最先端のハイテク掃除機をまとめてみた。
●床上30cmのハウスダストもお掃除 - 松下電器
ハウスダストとは、室内塵のことで人やペットの皮膚(フケ)、カビ、ダニ、および細菌などが混ざったものだ。近年問題となっているアレルギーを引き起こすいくつかのアレルゲンが混合したものも「ハウスダスト」と総称されている。
ハウスダストは床上30cmの空間に浮遊しやすく、人が5分間歩くだけでもかなりの量のハウスダストが舞い上がると言われている。歩き終えた後も数分間はハウスダストが室内に残留している。
松下電器の「エアダストキャッチャー」は、掃除機のノズルの上部に備えられたハウスダスト専用の機構で、床面のハウスダストとともに床上30cmにあるハウスダストを綺麗に取り除くことができる。
・新開発エアダストキャッチャー - 松下電器
●プラズマ放電とナノテクを駆使 - 日立
日立のロボットサイクロン「CV-RS1」はプラズマ放電を利用し、チリの集塵力を高めている。具体的に説明すると、プラズマ放電ユニットから放出された電子群がプラスに帯電したチリ同士を結合させて大きくしてフィルターで捕集する仕組みだ。さらにニオイの分子を分解するナノチタン触媒やナノプラチナ触媒により、掃除と同時にペットやタバコといった生活臭も分解してくれる。
これらの機能により、ハウスダストや細菌、ウイルスを逃がさず綺麗に掃除ができるそうで、信州大学の電気泳動法による試験では掃除機内に取り込んだアレル物質を99%以上分解できたとしている。
●ロボット掃除機「ルンバ」- アイロボット
掃除機でしっかりと掃除したつもりでも部屋の隅やカーペットの奥などには目に見えないホコリやチリが残っている場合が多い。そんなホコリやチリを逃さずに掃除するために制作された掃除機がアイロボットが開発したロボット掃除機「ルンバ」だ。
ルンバは米国特許のロボット知能「AWARE」を搭載した掃除機ロボット。壁センサーや段差センサー、ゴミセンサーなど数十種のセンサーを通して得た情報から現在の部屋の状況を判断して動きを制御する。ルンバが備える「3段階クリーニングシステム」では、かきだす・かきこむ・吸いとるの3種類の掃除を同時に実行する。
まず、6本のエッジクリーニングブラシが側面から飛びだし、壁際や部屋のコーナーなど取りにくいゴミを前方にかきだす。絨毯では毎分1000回転のメインブラシ、フローリングでは毎分1600回転のフレキシブルブラシを主に使用してゴミを内部のダスト容器にかきこむ。最後に1mm幅にまで狭くした吸引口がワイパーのように床面に密着して強力にゴミを吸い取る。
メーカーの調査によると、その清掃力の高さと優れた機能性により世界40カ国、250万以上の家庭で愛用されているそうだ。
・自動掃除機ルンバ - セールス・オンデマンド
今や掃除機は、単に掃除をするものから、安全で健康な環境を確保するための機器に生まれかわろうとしている。内部には最先端の技術を取り入れたハイテク家電なのだ。
参考:
・掃除機 | ルンバ (掃除機) - ウィキペディア
・掃除機の歴史 - 松下電器
・第96回「電気掃除機と磁石」の巻 - TDK
■こちらもオススメ!最新ハイテク講座 最新ニュース
・レーザーマウスから指マウスまで!ハイテクマウスの最新事情
・もはや「ICカード」時代!急速に生活に入り込んだICカードのハイテク度
・全自動からオゾンの力まで!ハイテク洗濯機の最新事情
・ケータイにも採用!紙のように曲がる不思議なディスプレイ「電子ペーパー」
・なぜ、体の中の脂肪量がわかるのか?「体脂肪計」
・【最新ハイテク講座】記事バックナンバー
Copyright 2008 livedoor. All rights reserved.