元イングランド代表監督のスベン・ゴラン・エリクソンがマンチェスター・シティの監督就任要請について大筋で合意した。契約期間は3年と見られており、マンCとの買収交渉が成立間近のタクシン元タイ首相は、このスウェーデン人監督に5000万ポンド(約120億円)にも上る補強資金の提供を確約したとも伝えられている。

 しかし、エリクソンの監督就任で、マンCが補強リストの最上位に挙げていたイングランド代表選手の獲得が難航する見通しとなった。クラブ関係者やサポーターが獲得を熱望しているのが、チェルシーのMFショーン・ライト=フィリップス。2年前に、2100万ポンド(約51億円)の移籍金でマンCから移籍したライト=フィリップスだが、スター選手の揃うチェルシーでポジションの確保に至らず、出場機会を求めて今オフの移籍を志願すると見られていた。そして、その移籍先として有力視されていたのが、古巣マンCだった。しかし、エリクソンの監督就任を聞いたライト=フィリップスは、その態度を一変。イングランド代表監督時代のエリクソンに、ほとんどチャンスを与えられなかった過去を持つウインガーは、マンCへの移籍に難色を示しているという。

 ライト=フィリップスの去就について、養父であり、元イングランド代表選手でもあるイラン・ライトが次のように語っている。

「ショーンがマンCへ移籍することはない。マンCに愛着を持っていることは確かだが、スベンが監督となると、話は別だ。ショーンがチェルシーで結果を出せていないのは周知の事実だ。しかし、今後はチェルシーの出方も見ながら、来シーズンの去就を考えなくてはならない。断言するが、スベンが監督を務めるマンCにショーンが移籍する可能性は、ほとんどゼロに近い」

 チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督は、ライト=フィリップスと同じウイングタイプのフランス代表MFフロラン・マルダをリヨンから獲得すべく、リバプールとの争奪戦を展開中。さらに、MFアリエン・ロッベンとの契約延長交渉も同時進行で進められており、ライト=フィリップスの去就はいまだ不透明だ。ただし、2006-07シーズン終盤の貢献を評価するモウリーニョ監督は、ライト=フィリップスの放出に難色を示しているとも言われている。エリクソンの下でのプレーをキッパリと拒否したことで、ライト=フィリップスのチェルシー残留の可能性が高まっている。