今のところ、この夏の移籍マーケットでのレアル・マドリーの動きが止まっている。ファビオ・カペッロ監督の去就問題がはっきりするまでは動くに動けないといったところだが、相変わらずACミランのカカへの情熱は薄らぐことなく、同クラブのラモン・カルデロン会長の“夢”の実現に向けて、その方法を模索しているところだ。

 ACミランはカカに8000万ユーロ(約131億7200万円)を値をつけているし、この値段はレアル・マドリーが考えている額にはほど遠い。つまり、ACミランはカカを手放すつもりはないという姿勢をとり続けている。ヨーロッパチャンピオンの称号を手に入れ、黄金時代を築き上げていこうとするACミランがクラブの“クラック”を手放したくないと考えるのも当然だ。そこでレアル・マドリーが検討しているのは、“カカ獲得作戦”にエメルソンとバチスタを組み入れるというものだ。カカ獲得に向け5000万ユーロ(約82億3200万円)プラス、エメルソンとバチスタ、というオファーを提示することを検討しているようだ。ACミランのカルロ・アンチェロッティ監督はユベントス時代のエメルソンの活躍ぶりを知っているし、この状況を活かしてレアル・マドリーは戦力外となっているバチスタをACミランに放出しようと目論んでいる。

 とはいえ、アンチェロッティ監督にしても、シルビオ・ベルルスコーニ会長にしてもカカは“アンタッチャブル”な選手であることには変わりないし、8000万ユーロ以下で売るとも考え難い。また、レアル・マドリーのカペッロ監督も自身の去就問題とは別にしても「カカ獲得は不可能なミッションだ」と認めている。「私はベルルスコーニを知っているし、カカを手放すことはないことも分かっている。彼のような選手は他にいないし、レアル・マドリーには来ないだろう」と自身の見解を述べている。

「カカは絶対に売らない」と断言するACミランに対し、「カカ獲得」に執拗にこだわるレアル・マドリー。不可能なミッションに対し、どんな打開策を打ち出してくるのかにも注目したい。が、監督問題、構想外となっている選手の整理といった火急の案件をクリアにすることが先決だろう。

(スペイン通信)