レアル・マドリーが早急に手を着けなければならないのは、「補強の前にまずは現在いるメンバーの放出」であると言われている。4年ぶりにリーガ優勝を果たしたとはいえ、再びタイトル獲得という美酒に酔い、レアル・マドリーのプレースタイルを取り戻すことはファンにとっての夢であり、そのためにも“ベンチの改革と一掃”を図ろうとしているレアル・マドリー。まずは“放出作戦”に着手し始めようとしている。

 まずは、カペッロ監督の去就問題。“優勝請負人”としてレアル・マドリーの監督に招聘された同監督はその期待に見事応え、チームを優勝へと導いた。だが、クラブとはあと2年の契約を残しているものの、カペッロ監督の続投ははっきりしていない。続投か否かの結論は来週に持ち越されている。そのカペッロ監督の後任候補ナンバーワンに挙げられるのはヘタフェのシュスター監督だ。土曜日に行われるスペイン国王杯決勝戦の終了を待ち、正式に動くとされている。

 ベンチに目を向けてみると、GKはカシージャスの控えGKであるカンテラ出身のディエゴ・ロベスは出場機会を求め、来シーズン、UEFAカップ出場が決まっているビジャレアルへの移籍を決めている。これにより控えGKがいなくなるレアル・マドリーはリバプールのベテランGKデュデクに白羽の矢を当てているが、彼の移籍金次第であり、本格的な交渉はこれからとなる。

 最も多くの選手を放出するとされているのはディフェンスラインだ。ロベルト・カルロスはフェネルバフチェに移籍。ミニャンブレス、メヒア、パボンの移籍の扉も開かれ、ヘタフェ、バジャドリ、プレミアリーグやブンデスリーガのチームからの問い合わせもきている。サルガドはあと2年の契約を残しているが、ダニ・アウベスの加入の可能性、そしてシシーニョの戦列復帰もあり、そのポジションは完全に失われることになる。ケガを含め今シーズンはほとんど出場する機会もなかったラウル・ブラボも移籍先を探している。エルゲラも移籍市場に出される選手だが、その高い移籍金がネックとなることは間違いない。一方、マルセロの場合はリーガへの適応を含め、他のチームで成長させるべく、1部のチームにレンタルされる可能性が高い。

 中盤では、ロサンゼルス・ギャラクシー移籍のためベッカムは退団。最終戦でのヒーロー、レジェスはレンタル期間が終了する。レジェスは残留を希望しているももの、2000万ユーロ(約33億3000万円)でレジェスを買うつもりはレアル・マドリーにない。そのレジェスにはスペインの3クラブが興味を示しているという。エメルソンもまた移籍の扉が開かれている選手だ。シーズン後半にようやくファンから声援を受けるようになったエメルソンだが、イタリア復帰を望んでいるとも言われている。

 カルデロン会長は、ロッベン、セスク、カカの獲得を執拗にこだわっているが、この夏に3選手を獲得することは難しい。ロッベンはチェルシー残留を明らかにしている。アーセナル残留を明言しているセスクだが、それはベンゲル監督次第。カルデロン会長が最も執心しているカカだがACミランが彼を手放す可能性はほぼないだろう。

 放出の動きが最も少ないのはフォワードで、カッサーノの放出はほぼ決まり。しかし、具体的な話は今のところない。レアル・マドリーはオサスナにレンタル中のソルダードを取り戻すつもりであり、他にも自由契約のサビオラを獲得するという噂もある。

 上記に上げられた選手の中には移籍先が決まっている選手もいるが、ほとんどの選手の将来は不透明だ。オフシーズンに入り、移籍市場もこれから本番を迎える。レアル・マドリーはまず“放出作戦”で構想外となる選手を放出し、ベンチの余剰人員を一掃し、一刻も早く“補強作戦”へと転じたいところだろう。

(スペイン通信)