13日に行われたJリーグオールスターの『DAZNカップ』では、6万158人が詰めかけた観衆の投票で選ばれるMIP賞とは別に、得点王、ベストゴール賞、ベストセーブ賞の選出がされた。得点王は複数得点者が不在だったために該当者なしとなったが、ベストゴール賞には、J2・J3 WEST-BのMF榊原彗悟(大分)が準決勝で決めたゴールが選ばれた。

 準決勝のJ1 WEST戦で榊原は7分、中央をドリブルで運んで左のDF杉井颯(鹿児島)に預ける。そしてリターンパスをエリア内で受けると、ワントラップから左足で豪快に蹴り込んだ。

「いい形でボールを受けれて、サイドにボールを振って、ああいったサイドに振った時にポケットが空くかなと思っていたので、そこにいい形で入り込めた。ファーストタッチが上手くいって、コースはあまりなかったけど、うまく流し込めたかなと思います」

 昔から“持っている”タイプだったという。横浜FMユースでプレーした18年のJユースカップでは、MVPを獲得。国立競技場でのプレーは横浜FMに在籍した24年のニューカッスル戦以来だったが、同試合でもアシストを決める大舞台での勝負強さをみせていた。

「特別な空間でした。まずこの舞台に立たせてもらったことに感謝しています。この雰囲気を作ってくださったすべての方に感謝を伝えたいし、そこで自分も何とか爪痕を残したいと思っていた。これからに繋がったかなと思います」

 横浜FMユースで10番を背負い、大会でMVPを獲得する知名度を持っていた榊原だが、ここまでは紆余曲折があった。高卒トップ昇格が叶わなかったものの、プロを諦めなかった榊原は、最後まで進路を模索した。ただ横浜FMに勧められたこともあったが、Jリーグ入りは叶わず、発表された進路はJFLのラインメール青森FCだった。

「とにかく早くプロの世界に飛び込んでみたいと思った。そこでラインメールさんが自分のことを拾ってくれて、4年間、苦しい時間が多かったけど、素晴らしい時間を過ごさせてもらった。ただ青森に行ってからもマリノスとは常に連絡を取りながらやっていた。あの時から常に満足せずに上を目指し続けてきたからこそ、こういう舞台に立てていると思います」

 現在の所属はJ2の大分トリニータになった。23年に横浜FMに加入して夢を掴んだ榊原だが、2シーズンを過ごしたあとの25年より、大分に完全移籍した。「マリノスとの契約が掴めなかったところで、大分が拾ってくれた。そういった苦しい時期があったから今があると思うので、引き続き高みを目指していきたい」。言葉に重みを感じさせる。

 ただ今までのすべての経験が誇りだという。「そこは自信を持って、自分の中で誇りに思うことなので、もっと特別な舞台に立てるように頑張っていきたい。それにこれを機にラインメールのことを知ってほしいですね」。“持っている男”。これからもが大舞台で結果を残すたびに、その経歴は否が応にも注目されていくはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)