3年ぶりJ1復帰の清水、個性的な選手たちの“まとまり”が強みに。ドウグラス・タンキは本格的な爆発の予感を漂わせる
悪天候の中で行なわれた磐田戦は、2本目の7分ほどで雷のために試合が止まり、予定の45分×4本の半分もできなかった。1・2本目でファーストセット、3・4本目でセカンドセットを試すのが通常で、この日の清水も現時点で秋葉監督が主力と考えるメンバーで臨んだと見受けられる。
「もちろん、残念でしたけど、お天道様の天候だけは我々の力が及ぶところではないので。非常に残念ではありますけれど、無事に終われたということを考えると、怪我人だとか不測の事態がなく、無事にキャンプを打ち上げられて良かった」
そう語る秋葉監督は本音を言うと、90分の試合を想定した2本目の終盤に、相手が反撃してきたところで選手たちがどう対応して、特に残り15分、10分を戦い抜くかをチェックしたかったという。
それでも新戦力である右サイドハーフの中原輝、左のカピシャーバが攻守に躍動し、センターバックから右サイドバックにコンバートされた大卒2年目の高木践が相手のキーマンである倍井謙と熱いマッチアップを繰り広げながら、乾貴士を起点に、D・タンキの2点目を右からのクロスでアシストするなど、ポジティブな要素が非常に多く見られた。
J2では良くも悪くも、乾が個人で違いを生み出すことで、周りのアタッカーが前向きにフィニッシュできたが、それだけで突き破れるほどJ1のディフェンスは甘くない。さらに言えば10番ポジションの乾が、できるだけ高い位置でチャンスに絡むシーンを多く作り出すためにも、ビルドアップやチャンスメイクでのサイドの関わりや、ボランチのお膳立てが大事になってくる。
その基準でも、ジョン・ハッチンソン新監督がハイプレスを植え付けている磐田を相手に、最終ラインとボランチ、キャプテンマークを巻いた山原怜音が相手の守備をいなしながら、縦にボールを付ける意識が見られたことはポジティブだ。
特に前線に構えるD・タンキと左サイドのカピシャーバは長めのボールでも収まるので、ビルドアップで相手を完全に外さなくても、前目で起点を作れることを実戦レベルで確認できたことは収穫だろう。
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乾が高い位置にいることも大事だが、ボランチからの攻撃参加も鍵になってくるなかで、宇野禅斗のバランスワークと矢島慎也の積極的なサポートも目に付いた。秋葉監督は、選手たちが試合の中でも山原や乾を中心に「どうしたら上手くとか、どう改善していくんだという、ポジティブなコーチングをしてくれている」と語る。
「最初こそ、ちょっとジュビロさんに持たれてしまった時間はありましたけれども、そこでも失点しなかったこととか、我慢強くしのぎながら解決策を見出した。それが僕にとって一番嬉しかったので、前のシーズンもそうでしたけど、中で選手たちが修正する、これが一番大事なので」
昨シーズンにJ2優勝を果たした主力メンバーからは権田修一をはじめ、原輝綺、ルーカス・ブラガらがいなくなったが、セットプレーの左足キッカーも担える中原、突破力のあるカピシャーバが攻撃に鋭さをもたらし、2年目のD・タンキが「去年は途中合流で、なかなかチームと連係が取れなかった。今年はキャンプのスタートからみんなと一緒に練習もできますし、コミュニケーションも細かいところまで取れている」と主張するように、本格的な爆発の予感を漂わせている。
もちろん乾の創造力も健在だが、何よりそうした個性的な選手たちが勝利のためにまとまっていること。これはJ1を戦ううえでの強みになりそうだ。
「1年間の中で、良い時も悪い時もありますし、当たり前ですけど、そういう浮き沈みのあるなかで、いかに小さくできるか、そのなかでも全員が矢印を前にポジティブに向けながらできるかと思ってますので。
そういう集団になりつつあると思いますし、だからこそ1年間を通してやる。去年に我々は成功体験を出していますので、これをJ1の舞台で存分に発揮したい」
そう主張する秋葉監督が思い描く戦いを、チームとして押し進めていけるのか。ライバルは間違いなく手強いが、困難をどう乗り越えるかも含めて、清水の挑戦に注目していきたい。
取材・文●河治良幸
