キューズ・ネットへの架空売り上げ計上

── キューズ・ネットとの契約稟議書について聞きます。契約期間が終わってから稟議がされていることについて、弁護側の尋問の中で「よくあることなので、おかしいことではない」と言っていたが。

 はい。

── 「ただ、僕が文句を言うんで」とも言っていた。変ではないか。

 契約してから作業をするという基本は守ろうよ、ということだと思う。

── 日付は確認していたか。

 確認しているケースもあるが、確認しているよりトラブルが起こった時に気づく。期末はいちいち確認していない。

── 契約締結の稟議をする時に、これはおかしいと、起草者や執行役員を呼び出すことはなかったのか。

 ありましたよ。しかし、こういうタイプの契約書で契約期間に頭が回るほど暇じゃない。

── (資料を示す)これは、電子決済ですかね。キューズに対する広告で、承認日は9月27日となっている。下の方に回収予定日ってあるじゃないですか。8月31日となっている。こういうことはよくあることなのか。

 これって間違いなんじゃないですか。結構いいかげんなんで。自動的に入っているのかもしれない。このシステムよく分かんないっすよ、稟議書を出したことは一度もないんで。

バリュークリックジャパンの粉飾決算

── (メールを示す)これは04年7月7日に被告人から伊地知(晋一)さんへ送られたメールです。送った記憶は。

 ないです。

── 「VCJ(バリュークリックジャパン、ライブドアマーケティングの前身)の4−6月が少し赤字なので、売り上げ付けてあげたら」とある。

 VCJに対して、LDのメディアが発注していたことは知っていたので、「不当に安く発注しているのではないか。適正価格にしろ」ということじゃないですかね。

── それは記憶か、推測か。

 推測ですね。

── (資料を示す)宮内さんから伊地知さん、「cc」であなたにもメールが送られている。読んだ記憶はあるか。

 ありません。

── 「うまいこと数字を作って、1億くらい黒字になるようにしてください」とある。これだけみると数字を操作するように見えるが。

 わかんないっすね。宮内さん、よく訳の分からない表現をするんですよね。「うまいこと数字をつくって」と疑いの目で見ると、そう受け取れるかもしれないが。

── 宮内さんは訳が分からないメールはよく送ってくるのか。

 誤字脱字当たり前。ロジックおかしい。100分割メールもそう。ぶっちゃけメールほとんどそう。

── これをみると、宮内さんは新たに3000万円を発注しろと言っているように見えるが。

 そうじゃないことを考えてメールを送った可能性はあると思う。宮内さんってそういう人なんで。

── (資料が示される)04年12月1日にあなたから宮内さんへメールが送信されている。このメールをやり取りした記憶は。

 ああ、このメールはやり取りした記憶がある。

── なぜ。

 拘置所でしつこく「思い出せ、思い出せ」とナカハラさんにやられたから。

── メールの2行目「LDFに到達します」を読んだ記憶は。

 「到達します」は違和感があるので、読んだ記憶はない。こういう感じ、宮内さんには珍しいじゃないですか。長いメールは宮内さんも打たないというのが、僕の認識だ。

── (資料を示す)04年11月16日に熊谷さんが送信したメールには、<重要>とある。

 どちらかといえば、見た可能性がある。

── 読んだ記憶は。

 ないですね。

── このメールを見ると、キューズ・ロイヤルへの作業工程表があるし、最終提案書は作られていないですよね。

 普通の範囲じゃないですか。金額がたぶん監査に言われてたからじゃないですか。

── 監査で言われるくらいだから、ないとまずいと。

 成果物があれば。

── 最終提案書もない。

 提案は口でする。ミーティングでする。役所仕事じゃないんで。キューズ・ロイヤルは仲良しの会社ですから。

── 熊谷さんや各執行役員に報告を求めることはしないのか。

 しない。

つづく

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