堀江被告(資料写真:常井健一)

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ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告の第25回公判が28日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。粉飾決算について、小坂裁判長が「架空売り上げを計上しろと誤解されるようなことを言ったのではないのか」とただすと、堀江被告は「絶対にない。自信がある」と強調した。

 堀江被告の公判は、この日で証拠調べをすべて終えた。論告求刑公判は12月22日に、最終弁論は来年1月26日に開かれる。

 2004年9月期にあったとされる決算の粉飾について、小坂裁判長が「9月の戦略会議の後に、宮内(亮治被告)、岡本(文人被告=いずれも分離公判中)らが架空売り上げの計上についてメールで相談している。会議で何があったのか」と尋ねると、堀江被告は「架空売り上げを指示することは絶対にない。手っ取り早く楽な方向に走ったんじゃないですか。『黒字にしろ』とは言いますが」と証言。小坂裁判長が「社長が『黒字にしろ』と言うのは、普通のことなんでしょ。それで架空売り上げに部下が走ることは考えられない。架空売り上げをしろと誤解されるようなことを言ったのではないか」とたたみかけると、堀江被告は「絶対にない。自信がある」と否定した。

 被告人質問の最後に、小坂裁判長は堀江被告に語りかけるように「自分に非はないと思っているの?」と質問。堀江被告は初めは「ないと思いますけど」と答えたが、小坂裁判長に問い直されると、「100パーセントないかと言われると、もっと(社内の)コミュニケーションをとった方がよかったとか、もっと(決裁などを)注意して見た方がよかったとか思いますが・・・」と当時を振り返って証言した。

 最後に、小坂裁判長は「社会に対して言いたいことは」と尋ねると、堀江被告は「私を取り巻く利害関係者の方にご心配をおかけしたことは、非常に申し訳なく思っている。成長ばかりに目がいってしまい、内部の組織固めができていなかった」と述べた。

 この日の公判では、小坂裁判長は弁護側が申し立てていた東京地検の大鶴基成特捜部長ら3人の証人申請の却下を決定。宮内亮治被告らの横領を見逃す代わりに堀江被告に不利な供述をさせたとして、弁護側が申し立てていた公訴棄却については「無罪が前提となるので、判決の中で判断する」との判断を示した。証人出廷した堀江被告の公判での証言と食い違いがみられたLD元代表取締役、熊谷史人被告=分離公判中=らの取り調べ調書については、証拠として採用することもあわせて決めた。【了】

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