『早乙女カナコの場合は』©2015 柚木麻子/光文社 ©2024「早乙女カナコの場合は」製作委員会

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 橋本愛が主演、矢崎仁司が監督を務める映画『早乙女カナコの場合は』が、2025年3月より新宿ピカデリーほかにて全国公開されることが決定した。

参考:橋本愛「映画の中だけで許されることをしたかった」 “念願の企画”で見えた新たな景色

 本作は、柚木麻子が2012年に上梓した小説『早稲女、女、男』(祥伝社文庫刊)を映画化する恋愛奮闘記。男勝りで過剰な自意識ゆえに素直に甘えることができず、本当は誰よりも純粋で不器用な主人公・早乙女カナコと、演劇サークルの先輩・長津田の10年に渡る恋愛模様を中心に、彼女たちと周囲の人々が右往左往しながらも各々が自分を見つめ直していく模様を描く。

 大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも4年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。長津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。大学入学から10年。それぞれが抱える葛藤、迷い、そして2人の恋の行方は。

 監督を務めるのは、『ストロベリーショートケイクス』『スイートリトルライズ』『さくら』などの矢崎。5年ぶりの新作となる本作について、矢崎監督は「物語より、光景の積み重ねこそが、観る人の心に触れると信じて映画を作り続けてきました。素晴らしいスタッフとの出会いで光景が映し撮れたと思います」と自信をのぞかせている。

 主演を務めるのは、『新宿野戦病院』(フジテレビ系)や映画『劇場版 アナウンサーたちの戦争』などの橋本。本作について橋本は、「男とか、女とか、そのグラデーションとか、自意識、愚かさ、狡猾さとか、そんなものがわっと湧き上がってきて、葛藤して、ぐちゃぐちゃになって。でもそれこそがオリジナルで、そして何でもない自分自身なのだと、そんなふうに思ったんです。全然大人になんてなってなかった!」とコメント。

 カナコと付かず離れずの関係を続けているうだつが上がらない脚本家志望の学生・長津田を演じるのは、『95』(テレビ東京系)や映画『チャチャ』などの中川大志。橋本と中川の共演は本作が初となる。中川は、「長津田というキャラクターを知れば知るほど人間の奥深さが出てきて、とてもチャーミングです。この役は僕にとってまた新たな挑戦でもありました」と役柄について触れ、「映画の中で流れていく時間、変化していく季節が、苦しくも心地よかったです」と撮影時を振り返った。

 また、原作者の柚木は「あまりにも美しい愛についての映画で自分の原作かどうか、疑ってしまった」と称賛のコメントを寄せている。

 あわせて、映画『愛なのに』『まなみ 100%』『市子』などのスチールを手がけた写真家の柴崎まどかが撮り下ろした場面写真も公開。大学でカナコと長津田が手を取り合ってダンスをするシーンや、家で2人だけの“お祝い”をするシーンなど、恋愛中のカナコと長津田の姿が捉えられている。

コメント橋本愛(早乙女カナコ役)大学に通えなかった自分にとって、この作品はあらかじめ失われた青春を取り戻すかのような……というほど甘酸っぱい話でもないのですが、全く知らない世界を手探りで途方もなく歩く感覚、でした。男とか、女とか、そのグラデーションとか、自意識、愚かさ、狡猾さとか、そんなものがわっと湧き上がってきて、葛藤して、ぐちゃぐちゃになって。でもそれこそがオリジナルで、そして何でもない自分自身なのだと、そんなふうに思ったんです。全然大人になんてなってなかった!

中川大志(長津田啓士役)長津田というキャラクターを知れば知るほど人間の奥深さが出てきて、とてもチャーミングです。この役は僕にとってまた新たな挑戦でもありました。映画の中で流れていく時間、変化していく季節が、苦しくも心地よかったです。

矢崎仁司(監督)物語より、光景の積み重ねこそが、観る人の心に触れると信じて映画を作り続けてきました。素晴らしいスタッフとの出会いで光景が映し撮れたと思います。ぼんやりした不安の世界をサバイブする彼、彼女たちに会いに来てください。きっと元気になれる。見えない鎖を解き放つ作品になると嬉しいです。

柚木麻子(原作)あまりにも美しい愛についての映画で自分の原作かどうか、疑ってしまった。(文=リアルサウンド編集部)