石破首相が南米訪問…陰の主役は「トランプ氏」
石破首相はAPECやG20などの国際会議に出席するため、南米に向けて出発した。この国際会議に合わせ、アメリカ・バイデン大統領、中国・習近平国家主席など、世界のリーダーがペルーに集まるが、陰の主役として外務省関係者が名前を挙げたのは「トランプ次期大統領」だった。なぜか?
■石破外交本格スタート…南米では異例の「会談ラッシュ」
石破首相は、ペルーのリマで開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議、ブラジルのリオデジャネイロで開かれるG20=主要20か国首脳会議に出席するため14日、羽田空港を出発した。ある政府関係者は「石破外交の本格スタート」と話す。
ペルーでは、アメリカ・バイデン大統領、中国・習近平国家主席、韓国の尹錫悦大統領との首脳会談に臨む。中でも注目は、中国の習近平国家主席との会談だ。
■日中首脳会談…実現の裏に中国の3つの「焦り」
日本と中国の間には、日本産水産物の輸入停止措置の問題、深センで日本人の男児が刺殺された事件、中国軍機による領空侵犯などがあり、日中関係は「悪い状態が続いている」(政府関係者)。こうした中、今回の会談が実現した背景には中国側の焦りがあったと、ある外務省関係者は指摘する。
1つ目の「焦り」は、中国の国内経済の悪化による「焦り」だ。外務省関係者は「不動産不況で国内経済が悪化し、中国政府は抜本的対策を打ち出せてない」「中国側は日中関係を改善して、日本企業による中国への投資を促したい」と指摘している。国内経済悪化の「焦り」が首脳会談実現を後押しした、と分析する(外務省関係者)。
2つ目の「焦り」はトランプ新大統領誕生の「焦り」だ。ある政府関係者は「今後、米中対立が深刻化する不安がある中、中国はまずは日本との距離を近づけたいと強く思っている」「トランプ政権の先行き不安が、逆に日中の関係改善にはプラスに働いている」と指摘する。
中国の焦りも見え隠れする中、トップ同士による会談で、関係改善に向けた糸口が見つかるかが焦点となる。
■APEC&G20など国際会議…外務省関係者「陰の主役はトランプ氏」
この時期、南米に世界各国のリーダーが集まるが、ある外務省関係者は「陰の主役はトランプ新大統領になるだろう」と指摘する。なぜか?この関係者は「トランプ大統領が一対一の協議を優先する中で、来年以降は多国間協議の役割が大きく変化するだろう」と懸念を示す。
また、日本の石破首相は国際会議の後、アメリカ・フロリダ州のトランプ大統領の自宅での会談を米側に打診している(外務省関係者)。別の政府関係者は国際会議の場でも「いつ?トランプに会いに行くのか?」など、各国の首脳の間で「腹の探り合い」もあるのでは、とも指摘している。
米大統領選が終了してから1週間ほどしか経たない中、世界のリーダーが集まる場での「陰の主役」は、早くもトランプ次期大統領になるのだろうか。