オーストラリア・ケアンズで開花した「ショクダイオオコンニャク」=2018年/Mangiwau/Moment RF/Getty Images

(CNN)オーストラリア・ジーロング市にある植物園に長蛇の列ができている。珍しい花を見て、そのにおいを体験するためだ。訪問客のお目当ては「ショクダイオオコンニャク」。「死体花」とも呼ばれ、甲虫やハエなど受粉を媒介してくれる虫を引き付けるために開花時に放つ腐敗臭で知られる。

しかし、開花時期は予測不能で、10年に一度しか咲かないこともある。そして、1度開花すると24時間から48時間しかもたない。

CNN提携局ナインニュースの取材を受けた訪問客のひとりは、せき込みながら口をおさえ「ひどい悪臭」と語った。もっと率直に「死んだポッサムのような臭い」と答えた子どももいた。

今回開花したショクダイオオコンニャクは2021年、南オーストラリア州アデレードにある州立の植物園から贈られたもの。ジーロングの植物園の担当者は何年もの間、芽吹きの兆候を見守りながら待ち続けてきた。

植物園によれば、開花が始まったのは今月11日。数日前から開花が予想されており、開花初日には約5000人が花を見ようと植物園を訪れた。市のウェブサイトによれば、花の臭いについて、来園者はこれまでのところ、「ネズミの死骸」や「悪臭のする池」などに似ていると表現している。

今回の開花は12日には終了するとみられている。

ショクダイオオコンニャクはインドネシア・スマトラ島が原産で、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に分類されている。寿命は30年から40年あまりなので、一生のうちで開花するのは数える程度。IUCNの推計では野生のものはわずか数百本しか残されていないとみられている。