ドル円、154円手前まで一時上昇 トランプトレード続く=NY為替概況

 きょうの為替市場はドルの買い戻しが強まり、ドル円も154円手前まで一時上昇した。先週は米大統領選でのトランプ氏が勝利したことで、トランプトレードであるドル買いが瞬間的に出ていたが、材料出尽くし感から、トランプ氏勝利を見込んで事前に積み上げていたドルロングの解消も出ていた。

 しかし、基本的にはトランプ政権誕生でドル高を見込む動きは根強く、週明けはドル買いが優勢となった。ドル円も200日線の上をしっかりと維持し、9月中旬からのリバウンド相場を堅持している。目先は155円を突破し、155-160円のゾーンにレベルシフトできるか注目される。

 先週はFOMCも開催され、0.25%ポイントの利下げを実施してきたが、12月FOMCにつてはヒントを示さず、データ次第のオープン姿勢を滲ませていた。足元のデータが底堅い米経済を示していることから、FRBは9月の大幅利下げ時点ほどには、利下げに前のめりになっていない様子もうかがえる。今週は10月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されており目先の注目となる。

 ユーロドルは下値を切り下げ、1.0630ドル近辺まで一時下落。ユーロドルは直近安値をブレイクしており、下値模索を強めているが、4月に付けた年初来安値が1.06ドルちょうど付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。

 本日はECB理事のストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁の発言が伝わり、ユーロ圏の物価上昇率が2022年10月の10.6%から2年間で2%まで低下したことは、金融政策の作用が大きいと述べたうで、今後も利下げは継続しそうで、恐らく来年9月ごろには2%近くまで低下する可能性があると述べていた。

 このところのユーロ圏の成長鈍化やインフレの進展で、ECBが従来想定している中立金利よりも低い水準まで低下する可能性が市場からも指摘されている。そのためFRBとの金融格差拡大が言われる中で、ユーロドルも上値を圧迫されているようだ。

 ポンドは対ドルでは下落し1.2865ドル付近まで値を落としたものの、対ユーロでは上昇し、一時2年半ぶりの高値水準まで上昇した。

 先週の英中銀の金融政策委員会(MPC)を受けて市場では、英中銀の利下げは小幅に留まるとの見方が続いておりポンドを支援している。一方、ECBについては利下げ強化への可能性を高めている状況。英国がトランプ氏の下での迫り来る貿易戦争の前線にはならないかもしれないという事実もポンドを下支えしているようだ。

 ECBが12月に0.50%ポイントの大幅利下げを実施すれば、ユーロポンドは年末までに0.82ポンドまで下落する可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美