空き巣に“狙われやすい家”になっていない?長期休暇前にすべき泥棒が嫌う「光・音・時間・人の目」を駆使した対策
長期休暇の際に気になるのが留守を狙う泥棒ではないだろうか。
泥棒に入られないために、自宅の弱点を理解し少しでも対策したいところである。
侵入されやすい家の特徴やどう対策すれば効果的なのか、日本防犯設備協会理事で総合防犯設備士の平野富義さんに聞いた。
長期休暇時期が狙われやすい
「長期休暇がある年末年始、ゴールデンウイークや夏期休暇は、泥棒にとって絶好の機会です」と平野さん。
空き巣: 住人が不在の住宅に侵入し、金品を盗む。
居あき: 食事中など、昼夜問わず住人が在宅の際に侵入する。気づかずに2階が荒らされるケースもある。室内で出くわす可能性がある。
忍び込み: 夜間、住人が就寝したころを狙い侵入する。居あきと同様、住人が被害に遭う可能性がある。
このうち、最も認知件数が多いのが住人の留守を狙った「空き巣」だ。
侵入されやすい家の特徴
狙われないために何か対策を講じたいところだが、侵入されやすい家の特徴はあるのだろうか。
「“入りやすくて逃げやすい家”を泥棒は好みます。逆に“入りにくくて逃げにくい”と防犯になります」
平野さんによれば、泥棒に狙われやすい家には次のような特徴がある。
【1】見通しが悪い(戸建て)
家の周りを植木やブロック塀などで完全に目隠ししてしまうと、泥棒が侵入しても外から見えづらい。フェンスは縦格子状のもので足掛かりのないものが良い。
【2】窓・玄関の無施錠(戸建て)
戸建ての場合は無施錠の窓や玄関から侵入されるケースが多い。
【3】周辺が暗い(戸建て・マンション共通)
家の周辺が暗いと人目に付きにくいので泥棒が入りやすい。周辺道路は、4メートル離れたところのいる人が立っているのか座っているのか確認できる程度の明るさ(水平面の平均照度が3lx以上)が推奨されている。
【4】公園から見える(戸建て・マンション共通)
公園は、泥棒にとって絶好の下見場所になる。休憩している人を装い、どんな人が住んでいるか、帰宅時間はいつなのかなどの下見ができる。
【5】外周りの整理整頓ができていない(戸建て・マンション共通)
傘が何日間も外に置いてある、庭に脚立が置いてあるなど、整理が行き届いていない家を泥棒は好む。脚立が敷地内に置いてあると侵入の道具として使われる可能性がある。
【6】オートロックがない(マンション)
容易に建物内に入ることができる。ただし、オートロックがあっても、住人の後について侵入する「共連れ」という手口もあるため、注意が必要。
【7】マンションの1・2階と最上階
マンションの場合、1・2階(接地階とその直上階)は道路から玄関や窓に侵入される可能性がある。また、最上階も、犯人が屋上に上り、屋上から下の階に降りてバルコニーから侵入される場合があるので実は危険。
【8】郵便受けが壁貫通型ではない(マンション)
壁貫通型の郵便受けは、オートロックの外から郵便物を投入し、オートロックの内側から取り出す方式。投入口と取り出し口が同じ面にある郵便受けの場合、郵便物を盗まれる可能性がある。また、取り出しの際、住人以外の人にも部屋番号を知られる可能性がある。
泥棒が嫌う4原則
では、どのような対策をすればいいのだろうか。平野さんが、「対策をするためにまず知ってほしい」というのが、“泥棒が嫌う4原則” だ。
「音、光、時間、人の目。これが泥棒が嫌う4原則です」
音…侵入しようとしたときに音が鳴ると、見つかることを恐れて犯行をためらう
光…明るい照明の元では、人目を感じて犯行をためらう
時間…泥棒は、侵入に5分以上かかると7割が諦め、10分以上かかると9割が諦めるというデータもある
人の目…人通りが多く人目が気になる場所では犯行を諦める傾向がある
この4原則に沿った対策を見ていこう。
・音で威嚇する:ガラス破壊センサー、侵入警報サイレン、防犯ブザーなど
「窓が割れた時や開いた時、扉が開いた時にセンサーが検知して警報音が鳴ったり、威嚇ライトが点滅するような防犯機器を設置しておくと、侵入者を威嚇することができます。また、防犯ブザーを玄関扉内側に設置しておくと、いざという時に侵入者が嫌う音を鳴らすことができます」
・光で威嚇する:防犯センサー付きライト、フラッシュライト
「検知エリアまで人が近づくとライトが点灯したり点滅したりするセンサー付きライトも、泥棒が嫌がる防犯機器です。電子音が出るタイプもあります」
・侵入に時間をかけさせる:ワンドアツーロック、窓シャッター
「玄関、勝手口などの出入り口は1つのドアに錠前を2個設置する“ワンドアツーロック”がお勧めです。侵入までの時間を稼ぐことができます」
自宅のドアがワンドアツーロックではない場合は、補助錠を追加するのも一つの方法。工事が不要なタイプも販売されている。ドアや窓の交換を検討する場合は、官民合同会議の防犯性能試験に合格した「CP製品」を設置することが効果的。最近は防犯に有効な窓シャッターも多く採用されるようになった。
・人の目で見張る:声かけ(コミュニティの醸成)、防犯カメラの設置
「犯罪者は声をかけられることを嫌うというデータがあります。したがって、隣近所やマンション内で人とすれ違う時に挨拶をしっかりする習慣を持つことが防犯に効果的です。不審な人には『こんにちは』『何階ですか?』などと声をかけましょう。防犯カメラも『人の目』として考えられ、犯罪抑止と犯人検挙に大いに役立っています」
SNSのリアルタイム投稿はNG
ここからは、留守にする際に気を付けることを見ていこう。
・新聞や郵便物、宅配便を止める
「長期留守にする際は、配達物は一時停止しておくことをお勧めします。郵便ポストに配達物がたまっていると、『いま留守です』と言っているようなものです」
・雨戸やカーテンを全部閉めて、照明を消す
「照明を点けたままにしたほうがいいのかという質問を受けることがありますが、深夜に照明が点きっぱなしだと逆に不自然です。また、カーテンや雨戸は内部を物色されないためにも全部閉めたほうがいいでしょう」
なお、時間を設定すると生活パターンに合わせ自動的に台所・食堂・風呂・寝室等の照明が点灯・消灯するタイマー機能付きの照明システムもある。留守がちの人は検討の価値があるかもしれない。
・留守中にリアルタイムでSNSに投稿しない
「最近は、SNSに『現在どこへ旅行している』『いつからいつまで旅行に行く』などの情報を発信する人がいますが、自宅を留守にしていることを公表しているようなもの。リアルタイム投稿はやめましょう」
プロにチェックしてもらう方法も
日本防犯設備協会HPには、「防犯チェックシート」があるので、自分でも確認してみてほしい。また、不安がある人は、自治体や地域の防犯設備協会がボランティアで行う「防犯相談」や「防犯診断」を受けてみると心強いかもしれない。
平野 富義(ひらの・とみよし)
NPO法人大阪府防犯設備士協会理事長、公益社団法人日本防犯設備協会理事。1973年エフビーオートメ株式会社を設立と同時に代表取締役に就任、防犯・セキュリティ機器や自動制御機器を約50年にわたり製造・販売。現在は、総合防犯設備士の資格を持つ“防犯の達人”として各地で講演を行っている。