女子フリーを終えて歓喜の表情を見せる坂本花織(撮影・堀内翔)

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 「フィギュアスケート・NHK杯」(9日、国立代々木競技場第一体育館)

 女子は世界女王の坂本花織(24)=シスメックス=が今季世界最高の合計231・88点でGP2連勝を果たし、計6戦の総合6位までで争うファイナル(12月・フランス)に進出した。千葉百音が2位、青木祐奈が3位で、ともにGP初の表彰台。NHK杯での日本勢による表彰台独占は16年ぶり。男子は今季GP初戦の鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が、合計300・09点で大会2連覇。壷井達也が3位に入り、GP初の表彰台に立った。ペアは三浦璃来(22)、木原龍一(32)組が合計209・45点で2位となり、2年ぶりのファイナル進出を決めた。

 少し後ろによろめいたフィニッシュポーズから氷に倒れ込むと、拳を何度も振って氷をたたいた。「びっくり。とにかく一番幸せです」。SP、フリー、合計全てで今季世界最高をたたき出す圧巻の内容。GPファイナル進出も決め、トレードマークの笑顔が咲いた。

 悪女を演じるフリー曲「シカゴ」は「ほぼ4分間走りっぱなし」のハードな内容。GP第2戦・スケートカナダではフリーでジャンプのミスが出る中での逃げ切り優勝だっただけに、帰国後はひたすらフリーの曲かけ練習をして修正に努めた。

 最終調整は当日朝の公式練習だった。3回転の連続ジャンプをミスしたことで、「前半抑えると常に考えてしまっていた」ことに気付けた。「今日はもう前半からぶっ飛ばしていこうと」。エンジン全開で挑み、3回転ルッツなど全てのジャンプを着氷。エネルギッシュにまとめてみせた。

 同門・壷井の活躍にも再び後押しされた。前日はSP3位に涙が出るほど喜び、フリーもオンラインで観戦。ヘアアイロンを握りながら「4回転を降りる度に叫んでいた」と大盛り上がりで、隣の部屋だった青木からは「『すごい声が聞こえたよ』と苦情が来ました」と笑って明かした。

 スケートカナダに続く日本勢の表彰台独占の快挙も達成。「もうびっくり!こんなうれしいことないから。もうすごくない」と大興奮。連覇がかかるGPファイナルへの切符も手にし、「今シーズンの結果が(五輪も控える)来シーズンにつながる。積み重ねて自信をつけていけたら」と意気込んだ。エネルギッシュな女王は、これからも進化を続けていく。