2023年5月にオープンした静岡県掛川市のショッピングセンターで、主要テナントが入る建物の耐震性に重大な問題が見つかったとして、11月7日から一部店舗が休業や閉店を余儀なくされています。突如の閉鎖に、買い物客からも困惑の声が聞かれています。

【写真を見る】利用客唖然「何でやめちゃったんだろう」去年オープンの商業施設14センチ沈下で一部閉鎖 耐震基準満たさず 解体建て直しを検討=静岡・掛川市

<利用客>

「なんでだろう。何で止めちゃったんだろう」

店舗の入り口に貼られたのは、休業や閉店のお知らせ。ここは2023年5月にオープンしたショッピングセンター「ミソラタウン掛川」です。運営するフジ都市開発は11月7日、「遠鉄ストア」や「無印良品」などが入るA棟について、設計や施工を担当した大和ハウス工業の調査で耐震性にかかわる重大な問題が生じていることがわかったとして、建物の使用を停止すると発表しました。オープン2年目での主要テナントの休業や閉店に、利用者からは困惑の声が聞かれます。

<利用客>

「(ニュースを)ネットで見て、あまりの衝撃だったので、現地はどうなっているかなと思って寄った。(「ミソラタウン掛川」に来れば)1か所で済んだが、これが当分ないとなるとすごく不便」

「週に1回は来ているスーパーだったのでびっくりした。まさか、耐震性の問題があると思ってなくて」

「子ども用品とか、スーパーが集まっているので、気に入っていたのでショック」

大和ハウス工業の調査によると、A棟の基礎杭72本のうち、9本を調査したところ、5本が固い岩盤の支持層に達しておらず、耐震基準を満たしていなかったということです。

「ミソラタウン掛川」では、2024年5月にA棟南側の搬入口付近で外構の沈み込みを確認し、同年7月から建物の調査を始めていて、建物の一部はすでに最大で14センチほど沈下しているということです。

大和ハウス工業の広報担当者は、取材に対して「地盤などの調査をしたうえで、設計や施工に問題はないとして建築したものの、現在は調査中」としています。

ショッピングセンターの主要テナントの休業に、掛川市の久保田崇市長は「あそこにスーパーなどがあるから、周辺に家を買った人もいるだろうし、これから買おうとしている人もいると思う。そういうところに影響が出てくるのではないか」としています。

市によると、ショッピングセンター周辺は、掛川市から袋井市につながる市道の「梅橋線」が2006年に開通したことで、ファミリー層の転入が増えている地域だといいます。

<掛川市 久保田崇市長>

「(A棟以外の)B、C、Dの棟は問題ないと聞いている。A棟も再オープンが期待できるのかどうかによって、影響の大きさは変わってくると思うので(市としても)注意深く見ておく」

フジ都市開発は今後、「解体して建て直すことを検討する」としています。一方で、少なくとも立て直しには、2年以上かかることなどから、今後、大和ハウス工業への補償や損害賠償について検討していくとしています。