《一方的に頭を下げたわけではない》松本人志が名誉毀損訴を取り下げるに至った「内幕」と入念に準備されたコメント内容
ダウンタウンの松本人志が、性的な被害を受けたと訴える女性の証言を掲載した『週刊文春』の記事で名誉を傷つけられたとして、発行元の文藝春秋と編集長に5億5000万円の損害賠償を訴えた裁判。
11月8日に、両者が合意し、松本が訴えを取り下げる方針であることが分かった。裁判は終わり、日本を代表するトップタレントによる一連の問題は、一応の終結を見ることとなった。
昨年12月に発売された『週刊文春』(1月4日・11日号)で2015年に松本からキスや口淫などの性被害を受けたと主張する女性2人の証言が掲載された。「呼び出された複数の女性が告発 ダウンタウン・松本人志と恐怖の一夜『俺の子ども産めや!』」と題された記事で、2人の女性が松本による“強制的な”性被害を訴え、世間を大きく揺るがす話題となった。
さらに複数の女性への取材を通して、一連のキャンペーン報道を行う文春に対し、松本はXで「事実無根なので闘いまーす」と投稿。さらに今年1月22日、「筆舌に尽くしがたい精神的被害を受けた」と文春側に損害賠償などを求める訴訟を起こした。
「裁判で松本氏は書面を提出して『これまでの人生でいかなる女性に対しても同意を得ることなく性的行為を強制したことは一切ない』と主張。対する文春も『女性に対して複数回の取材を重ね、証言の信用性について慎重に検討したうえで、確信した。同意のない性的行為は真実だ』などと主張し、両者は徹底的に争っていました。
松本側も女性達との飲み会、実質的には性的行為があったことははっきりと否定はしていません。なので、争点は強制性の有無でした。
文藝春秋の新谷学総局長はYouTube上のインターネット番組で、はっきりと『客観的証拠はない』と明かしています。裏を返せば、証言などしかないわけですが、文春としては取材を尽くし、強制的に行われたということの真実相当性は十分に担保されていると反論していました」(大手紙司法担当記者)
強制性を証明する動画などの客観的証拠がない以上、双方は証言に頼らざるを得ない。そして両者、折れることなく“泥試合”が続いていた。
しかし、NEWSポストセブンの取材で、水面下では合意に向けて両者が動いていたことがわかった。
準備されている双方の「コメント」
事情をよく知る関係者が明かす。
「訴訟が長引くにつれて両者は疲弊していったようです。松本としては賠償金が欲しいわけではなく、今後も芸能活動を続けるためにも折れることはできなかった。一方の文春も、客観的証拠はなく、証言しかないということは分かっているので、決定打にかける。世論も真っ二つでした。
そこで水面下で調整が続けられていた。松本が賠償金を受け取らずに、証人尋問もせずに訴えを取り下げたということで実質的には松本が負けのように見えるかもしれません。ただ実態は少し違くて、単に取り下げたのではなく、双方の水面下の協議により合意をしているのです。松本が一方的に、文春に頭を下げたという構図ではないんです」
訴えを取り下げるにあたり、世間に公表される松本、文春、双方代理人連名コメントについても慎重に検討がなされたという。
松本はコメントで被害女性に謝罪をした上で、女性らを念頭に“心を痛めた方がおられるのであれば”といった表現を使っているようだ。
「これは不快な思いをした方がいることを念頭においた表現で、そういった女性がいない、と言っているわけではありません。彼は過去の自分の行為について、反省すべきところは反省している。一方の文春のコメントは、被害女性への気遣いがみられます。文春としては、告発者の保護を最優先にし、合意の道を探っていたのでしょう」(同前)
日本を揺るがしたトップタレントの裁判。松本が訴えを取り下げるとなると、次は芸能活動再開やテレビへの復活があるのかといった点に注目が集まるだろう。