iPhoneやGalaxyのゴリラガラスで知られるコーニングを欧州委員会が独禁法違反の疑いで調査へ
by whatleydude
欧州委員会が、スマートフォンやタブレットPCなどのガラスを生産するメーカー・コーニングに対して、同社のゴリラガラスが携帯電話の画面市場を独占しているとして独占禁止法違反の調査を開始したことを発表しました。
Commission opens antitrust investigation into possible anticompetitive practices by Corning over cover glass for electronic devices | European Commission
Corning faces antitrust actions for its Gorilla Glass dominance - Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2024/11/corning-faces-antitrust-actions-for-its-gorilla-glass-dominance/
Corning facing EU antitrust suit over Gorilla Glass seals • The Register
https://www.theregister.com/2024/11/06/eu_charges_corning_with_antitrust/
ゴリラガラスはコーニングが開発するアルカリアルミノケイ酸塩素材を使用した強化ガラスで、高い透明度を保ちながらプラスチックの数十倍とも言われる強度を誇っているのが特徴。衝撃や傷に対する耐性が高いことから、ゴリラガラスをはじめとするコーニング製強化ガラスは、AppleのiPhoneやSamsungのGalaxyシリーズなど世界的に有名なスマートフォンやタブレットPCのディスプレイ用ガラスに採用されている実績があります。
by Titanas
欧州委員会は、コーニングが市場トップの地位を維持しているのは、デバイスメーカーに対して「携帯電話のディスプレイ用ガラスのほぼすべてをコーニングから調達する」ことに同意するように要求した上で、リベート(報奨金)を与えているからだと主張しています。
またコーニングはデバイスメーカーに競合提案を報告するように要求したほか、ゴリラガラスを携帯電話のディスプレイプロテクターに加工するメーカーにも同様の圧力をかけ、コーニングに対する特許訴訟を起こさないように要求した疑いがもたれています。
欧州委員会は「コーニングがデバイスメーカーや加工メーカーと結んだ契約により、競合するガラス製造業者が市場から排除された結果、顧客の選択肢が減り、価格が上昇し、世界中の消費者に損害を与えるようなイノベーション阻害が存在した可能性がある」と述べ、コーニングがEU条約第102条で禁止されている独占禁止的行為に抵触していると主張し、正式な調査を開始することを通告しました。
欧州委員会の競争政策担当であるマルグレーテ・ベステアー氏は「携帯電話の画面が割れるのは非常にイライラしますし、高くつく経験です。したがって、低価格で高品質のガラスを確保するためにも、こうした機器を保護するために使われるカバーガラスの生産には激しい競争が行われることが極めて重要です」とコメントしました。