【森雅史の視点】2024年11月2日 ルヴァンカップ決勝 名古屋グランパスvsアルビレックス新潟
ルヴァンカップ決勝 名古屋 3(2-0、2-2、3-2、3-3、5PK4)3 新潟
13:09 キックオフ 国立競技場 入場者数62,517人
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結果論から言えば、この試合の流れを作ったのは31分、永井謙佑が挙げた先制点と、その後の新潟の対応だった。31分、GK阿部航斗が痛恨のミスパスでゴール前の永井に渡してしまう。永井はこれを冷静に決めて試合の主導権を握った。だが、GKからきちんとつないで展開する新潟がこの戦い方を続けるのなら考えられるリスクだった。
一発勝負の決勝戦故にもっとリスクを減らすのか。確かに新潟は多少減らした。しかし基本は変えない。そして新潟が変えないのを見た名古屋は新潟が守備ラインでボールを持つとオールコートでマンツーマンマークを仕掛け、パスコースを次々に限定した。そして確かに効果を出していたのだ。70分までは。
滑りやすいピッチでの激しいプレスで名古屋の足は急にぱたりと止まった。追いかける新潟はそのスキにゴール前に入り込み、71分にまず1点。そして後半アディショナルタイムにドリブルで仕掛けてPKを獲得すると、90+11分、ついに同点に持ち込んだ。
延長戦はお互いに攻め合い、延長前半に名古屋が追加点を奪うが延長後半には素晴らしいスルーパスが通って再び同点となる。PK戦は5人全員が決めた名古屋が勝ったが、新潟は新潟らしさを最後まで貫き、負けてもなお見たくなるサッカーを繰り広げてくれた。
天候の関係で上京しにくかったはずの両チームサポーターが作り上げた熱狂的な雰囲気、一枚のカードも出さずに試合を終わらせたレフェリーの裁き方まで含めて、サッカーの美しさをとことん表現してくれた試合だった。
森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート