博士

写真拡大

中国メディアの中国新聞週刊はこのほど、「2024年に博士号の価値は縮小するのか?」との記事を発表した。

記事はまず、25年度の大学院入学試験の受け付けがすでに始まったことに触れて、「教育部のデータによると、この4年間、博士課程は募集枠の拡大が続き、20年の11万6000人から23年の15万3000人にまで増えた」と説明。その上で「だが24年を『博士号の急激な価値下落元年』と呼ぶ人もいる」と続け、「学歴の新たな『インフレ』が静かに起きているのだろうか」と問い掛けた。

記事は「専門職博士ははやるのか?」と記し、同済大学研究生院の林思劼(リン・スージエ)副院長が「ここ数年、専門職学位の博士課程の募集人数は年々増加している」「学術学位と専門職学位は人材育成における重点が異なる。前者は基礎研究と科学研究の革新、後者は専門分野での実際の応用と技術革新により焦点が当てられる」と説明したことを伝えている。

また、教育部の担当者が23年12月の記者会見で「23年の博士課程の新卒者は7万5200人で、企業に就職した人は5分の1を超えた。この割合は3年間上昇を続けている」「すでに先進国になっている一部の国から見ると、この割合はまだ十分に高いとは言えない」と指摘したことを紹介し、「これは博士課程の学生が企業に加わることは『任重くして道遠し』であることを意味する。学校でこの問題の解決に取り組めば効果があるかもしれない」と論じた。

記事によると、中国の博士課程では実践にますます重きが置かれ、エンジニア系では企業で半年間、実習することが求められる。この他、入学2年目に企業に入るよう求められることもあるという。

記事は、中国人民大学国家発展・戦略研究院の研究員で中国人民大学公共管理学院教授の馬亮(マー・リアン)氏が「専門職博士、専門職修士のいずれも大学と企業がいかに協力して学校を運営し学生を育成するか考えねばならない。学生に科学研究の第一線で経験を積ませることができてこそ育成の質を高めることができる」と指摘し、教員の配置面での強化、育成計画の更新・最適化の必要性を訴えていることを伝えた。

記事はまた、「学歴の『ボーナス』は委縮しつつある」と記して「この4年間で博士課程の在籍者数は46万6500人から61万2500人に増えた。これが24年が『博士号の急激な価値下落元年』と言われるゆえんだ」とし、大学の教職の基準がますます高くなる一方、企業は入社を希望する学生により一致度の高い専門性を求めていると指摘した。

重点大学の博士課程の卒業生からは、「大学の採用応募の際、多くの学校がポストドクターを明確に求めているのに気付いた。大学側の『買い手市場』の特徴がますます明らかになっている」との声が上がったという。

ただ、「ボーナスが委縮」とはいえ、大学関係者は「専門職博士課程の募集割合は今後も増えて学術博士と同じ水準になる可能性もある」との見方を示している。「一部の先端科学技術イノベーション分野では専門職博士に対する需要が大きいが、育成が間に合っていない。募集拡大で問題が解決できれば科学技術イノベーションのさらなる後押しが見込める」という。(翻訳・編集/野谷)