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 ◇ワールドシリーズ第1戦 ドジャース6×ー3ヤンキース(2024年10月25日 ロサンゼルス)

 ドジャースのフレディ・フリーマン内野手(35)が25日(日本時間26日)、本拠で始まった第120回ワールドシリーズ(WS、7回戦制)の第1戦に「3番・一塁」で先発出場。延長10回にワールドシリーズ史上初のサヨナラ満塁本塁打を放ち、チームの勝利に貢献した。

 試合後、デーブ・ロバーツ監督は「これまで凄い瞬間を目撃してきたが、その中でも最高のベースボールモーメントかもしれない。9回が始まったところでは、翔平を打席に立たせたかった。彼らがムーキー(ベッツ)を歩かせることを決断した後、フレディの打席には自信が持てた。スイングを見て、いったと思った。(そこで感じたのは)純粋な高揚感だ。サヨナラ勝ちでもあそこまで祝うことはなかなかないが、それも正当化されるはずだ。あの前までも素晴らしいゲームだったが、あのフィニッシュで最高に興奮させられた」と興奮冷めやらぬ様子だった。

 ヤンキースベンチがベッツを申告敬遠し、フリーマンとの勝負を選んだことに、フリーマンは見下されていると感じたと思うか?と問われ「そうだと思うし、そう感じるべきだ。アーロン(ブーン監督)は自信を持ってそうしたのだろう。私もそうしてきたが、ただ、(目の前で)歩かされた選手は見下されたと感じるべきなんだ。勝負師とはそういうものだ」と話した。

 故障を乗り越えてきたフリーマンについては「このゲームは正しい方法で物事を行い、正しいプレーをし、いいチームメートでもある選手を称えてくれる。今夜、フレディはゲームから称えられた。厳しいシーズンになっているが、それでもチームメートのために前に進み続けている。最高に幸せだよ」とねぎらった。

 サヨナラ勝利で第1戦を取ったことにも「(この勝利は)大きい。両チームのブルペンの使い方にも切迫感が感じられた。ここで1勝できたのは大きい。ゲリット(コール)はよかった。中盤に得点機があったが行かせなかった。それでも粘り抜き、9回にまた機会をつくった。そこでビッグヒットが出た」と振り返った。

 フリーマンは初回2死から左翼線へ鋭い打球を放つと、左翼手・バードゥーゴがクッションボールの処理に手こずっている間に負傷中の右足の痛みをこらえ、全力疾走。三塁打でチームを鼓舞した。

 2打席目以降は凡退が続いたが、2−3の延長10回2死二、三塁の第5打席は、前の打者、ベッツが申告敬遠で勝負を避けられ満塁の好機で迎えた。相手6番手左腕・コルテスの初球、内角92・5マイル(約148・9キロ)の直球をフルスイング。打った瞬間、確信した特大の本塁打がドジャースファンの待つ右翼席に飛び込み、ガッツポーズをしながらダイヤモンドを一周。最後は本塁で待ち受けていたナインからもみくちゃにされながら生還し、延長戦に入った激闘を一振りで締めくくった。

 試合後、フリーマンは「夢がかなったよ」と笑顔。右足首を捻挫しながら強行出場していたが「かなり良い感じです。この6日間、しっかり治療しました」と足首の具合についても明かした。

 インタビュー中にはチームメートの背後からバケツに入った氷水をかけられる“恒例”のシーンも。最後には興奮した様子でチェルシー夫人に熱烈なキスをする姿も見られた。

 大リーグ公式サイトのサラ・ラングス記者は、ワールドシリーズで2死からサヨナラ本塁打を放ったのは、ドジャースが世界一に輝いた1988年の第1戦でカーク・ギブソン(ドジャース)が放って以来史上2度目。ドジャースはこの年に世界一に輝いており、大リーグ公式サイトのXも「1988年と2024年が出会う」とこの不思議な縁を紹介した。

 ロバーツ監督はギブソンとの比較についても問われ「(ギブソンの一打は)アイコニックなものだ。あと3勝すれば、(フリーマンの本塁打も)並べられるようになるだろう」とコメント。ギブソンの本塁打も第1戦だったと振られると「(ギブソンの有名な)ガッツポーズ以外はすべて同じだ」と笑顔で話した。