金融庁が入る中央合同庁舎7号館=東京・霞が関

 金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで証券取引等監視委員会の強制調査を受けた男性裁判官が、4月に金融庁に出向して間もなく、業務を通じて知った未公表情報を基に株取引を始め、監視委が調査を始める8月ごろまで繰り返していた疑いのあることが19日、関係者への取材で分かった。

 最高裁の徳岡治人事局長は同日、「裁判官であった者が金融庁への出向中にインサイダー取引の疑いで調査を受けていることは遺憾。事実関係の詳細を把握しておらず、これ以上は差し控えたい」とコメントを出した。

 関係者によると、裁判官は4月から金融庁企業開示課課長補佐として勤務。直後から8月ごろまで、職務で知った株式公開買い付け(TOB)などの企業情報を基に自己名義で株取引を繰り返し、利益を得ていた疑いが持たれている。

 監視委は不自然な取引があるとの情報を把握し、8月に調査を開始。9月に裁判官の自宅など関係先を強制調査し、取引の分析を進めている。

 同課課長補佐はTOBを予定する企業の書類審査などを担っていた。