国土の「均衡ある発展」というビジョンの象徴ともいえる田中角栄の『日本列島改造論』では、不思議なことに「自然災害大国、日本」の視点がほぼない。同著において唯一、自然災害について触れられているのは、「いま東京が関東大震災と同じ規模の大地震に襲われたらどうなるだろうか。東京都防災会議、東京消防庁によると、倒壊家屋二万戸、圧死者二千人、地震が発生してから五時間後に品川区、中野区の面積に匹敵する16万平