佐藤二朗

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 俳優の佐藤二朗が18日放送のTBS系「A−Studio+」に出演。20代で主演舞台をドタキャンした過去を初めて告白。「一生頭の上がらない」恩人であるベテラン女優に涙を浮かべながら感謝した。

 舞台をドタキャンした過去について尋ねられた佐藤は「これ初めて言うよ、テレビで。今まで言ってないんだけど…」とちゅうちょしながらも切り出した。「23歳かな24か?文学座という養成所行って、1年で劇団員に上がれず。次のある俳優養成所に行ったんですよ。今どこを見ても“某養成所”としか言ってないんですよ。渡辺えりさんが3○○(さんじゅうまる)という劇団をやってらして。3年だけ『無人塾』っていう養成所をやっていて。その3期生で僕がいたんです」と女優の渡辺えりが主宰する劇団に在籍していたことを初めて明かした。

 「オールドリフレイン」という渡辺の戯曲を卒業公演でやることになり、佐藤は主役の市助と役を演じることになっていた。「ずーと半年ぐらい稽古やるんですよ。普通だったら1カ月ぐらいなんだけど、半年ぐらいやる。えりさんの演出は全然理由じゃなくて。あの…ちょっと、おかしくなっちゃってですね」と初日前日の明け方の5時まで「3ページぐらいの長セリフ」がどうしても覚えられなかったという。「今だったら、ビール飲んで寝ちゃうんだけど。『考えてもしょうがない』っつって。そういうことを今だったら学んで知ってるんだけど、そんときまだ23、24で。とにかく何とかしなきゃって。半年稽古期間、1滴も酒飲まないんですよ。で、もうどんどんおかしくなっちゃって」と精神的に追い詰められたという。

 それでもスタジオに行くつもりで駅まで行ったが、「(電車を)降りたり乗ったり、繰り返してたの。それで集合時間が過ぎて、『ああ人生終わった』って」と主役の舞台をドタキャンし、そのまま失踪したという。

 渡辺は劇団員を集めて行方を探し、佐藤の実家にも連絡を取ったという。佐藤は「今でも泣きそうなっちゃうんだけど、うちの母親に『お預かりしている大事な二朗君をこんなふうにしてしまいました』って。えりさんが(ドタキャンの)理由じゃないんだよ全然」と説明。数日後、詳しい経緯は「よく覚えてない」ものの、愛知県から出て来た母親と歌舞伎町のバッティングセンターで落ち合い、寿司屋で母を前に号泣したことも明かした。

 その時の佐藤の代役は、以前市助役を演じていた先輩の俳優・土屋良太が務めたといい、「えりさんは俺の将来を思って。今の今までえりさんは、土屋さんもそうですけど、みんな内緒にしてくれている。えりさんと会うと『もう一生笑えるね、この話』って、えりさんは言ってくださるんだけど…。『えりさんは、もうご笑納いただいていいけれども、僕はもう一生背負う十字架なんで』って言って」と話すと、「だからえりさんは一生、頭が上がらない恩人ですね」と当時を思い出し、涙で声を詰まらせた。

 これにはMCの笑福亭鶴瓶も「腹立つなあ、何で、お前のことで泣かなアカンねん」と言いながらもらい泣きしていた。