笑顔をみせる町田・相馬

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 町田の日本代表FW相馬勇紀(27)が逆転優勝のキーマンになる。7月に名古屋から完全移籍で加入し、首位を走っていたチームを再加速させる活躍が期待されたが、ケガの影響もありここまで出場6試合でゴール、アシストともに記録できず。チームは3位に後退し、個人としてはW杯アジア最終予選を戦う日本代表メンバーからも落選した。くすぶる思いを胸にしまい、リーグ戦残り5試合での本領発揮に燃えている。

 「そろそろアシストか点を取りたいですね」。町田に加入して約2カ月半が経過し、青色の練習着が見慣れてくるようになった相馬が本音を漏らした。加入後、自身が出場した試合は1勝2分け3敗。先発出場に限ると、まだ勝利はない。2位と勝ち点差5をつけて首位に立っていたチームは、失速し3位に後退した。もちろん、さまざまな要素があっての結果だが「やっぱりもどかしいですよ」と心境を明かした。

 パリ五輪日本代表のMF平河悠が海外移籍して間もないタイミングでチームに加入。平河と同ポジションを担当できる相馬に、サポーターから大きな期待が寄せられた。相馬もチームに合流した際「見ててください」と頼もしく語り、黒田監督も「補充ではなく補強。それだけの選手」と評価していた。

 だが、8月11日の湘南戦後、移籍前に発症していた肉離れが再発。約1カ月間、戦線から離脱した。焦らずコンディションを戻して、勝ち点差なしでぶつかり首位攻防戦となった9月28日の広島戦で先発復帰。本来の調子を取り戻しつつあったが、大事な一戦でチームを勝利に導くことはできなかった。

 10月の代表活動にも選出されず、試合をテレビで見て刺激を受けた。相馬の競争相手には三笘薫、中村敬斗、伊東純也らが挙がり、激戦区で代表復帰のハードルは高い。それでも「あんまり人と比較しても」と矢印を自身に向け、まずは町田の勝利に貢献する意識が第一にあるという。

 「うまくいかなかった時、やっていることが全部悪いことじゃないと思うんです。その期間があったからこそ、次に行ける。本当に歯車が1つかみ合ったら、すごいチームって良くなると思うので、そこはネガティブに捉えていないです」

 代表ウイーク期間の練習では、相馬からチームメートに積極的に声をかけ、意見交換をする場面が多く見られた。「夏に移籍して試合が続く中、なかなかすり合わせる期間がなかった」。残り5戦で首位広島との勝ち点差は6と、逆転優勝に厳しい状況だが「目指すのは5勝しかない」と全勝宣言。初Vへ、まだまだ諦めていない。(デイリースポーツ・松田和城)

 ◆相馬勇紀(そうま・ゆうき)1997年2月25日生まれ、東京都調布市出身。三菱養和SCユースを経て、早稲田大学に進学。2018年に特別指定選手としてJ1名古屋でプロデビュー。22年まで名古屋、鹿島でプレーした。23年に名古屋からポルトガル1部カザピアに期限付き移籍。24年7月に名古屋へ復帰し1試合に出場後、町田へ完全移籍した。19年に日本代表初選出。21年にはU−24日本代表として東京五輪に出場。22年カタールW杯では1次リーグのコスタリカ戦に先発出場した。日本代表は通算14試合出場5得点。利き足は右。166センチ、68キロ。