「年間100回以上遠征していた」“元アイドルオタクのアイドル”が武道館のステージに立つまで
――アイドルになったばかりの頃は、やはり苦労が多かったのでしょうか?
小鳥遊るい:コロナ禍でデビューライブが中止になり、私のアイドル人生はいきなり無職のような状態からのスタートでした。いざ活動が始まっても、歌やダンスはもちろん未経験で、スキップすらできない私の苦労は絶えることがありませんでした。周りのメンバーはスキルが高くて、ただただ私は必死に付いていくだけ。それでも、アイドルオタクとして自分が憧れていた“理想のアイドル”になりたい。その気持ちだけは人一倍強かったおかげで、どんな辛いことがあってもチャレンジを続けられたと思っています。
――小鳥遊さんが目指す理想のアイドルとは?
小鳥遊るい:私は、アイドルにはプライベートまで100%を求めてしまうタイプのオタクなんです。オンオフをしっかり切り替えられるのも素敵だけど、休日にしていたことも共有してくれて、常にファンのことを考えてくれるようなアイドルが好き。だから私も、少しでもそんなアイドルになりたいと思いながら活動を続けています。
――ライブ配信サービス「SHOWROOM」での毎日配信が、1,600日を超える勢いです。これも理想のアイドルを追い求めていた結果なのでしょうか?
小鳥遊るい:そうですね。最初は、コロナ禍でもファンの方と接点を持ちたいと思って始めました。でもいまは、24時間アイドルでいるための大切な居場所だと思って、自分でも楽しみながら配信をしています。そんな毎日なにを話しているの? とよく聞かれるのですが、自分でもわからないんです(笑)。その日あったことや自分の好きなことなどを話しているだけで、あっという間に時間が過ぎていくんですよね。これからも、気軽に立ち寄れる空間を目指して、毎日配信を続けていきます。何かほかのことをしながらでもいいので、たまに私の話を聞きにきてくれると嬉しいです!
――デビューから4年が経ったいま、これまでを振り返ってみていかがでしょうか。
小鳥遊るい:アイドルとしての活動は、“想像していたなかで一番良い未来よりも、もっといい現実”がありました。憧れだった「TOKYO IDOL FESTIVAL」に出演できたり、自分がオタクとして通っていたポップアップストアを出せたり「これは現実?」と思うようなできごとをたくさん経験しました。そして、結成4周年で日本武道館のステージに立てたときの感動は、いまでも忘れられません。自分でいうのもなんですが……アイドルオタクだったあの頃から考えると、まるでシンデレラストーリーのようだなと思うときがあります。
◆アイドルオタクが考えるアイドルとファンの関係性
――アイドルになった現在も、アイドルオタクの活動は続けているのでしょうか?
小鳥遊るい:アイドルになってからは、もちろんあの頃のような活動はできなくなってしまいました。好きなアイドルのライブがあるときは、私もライブをしているので(笑)。代わりに、ステージの裏側でたくさんのアイドルと話せるようになりました。でもいまだに「無銭で接触するなんてとんでもない!」と思っています。チェキ代をお支払いできれば、どれほど気持ちが楽か……。アイドルをしながらアイドルオタクをする観点でいえば、VTuberさんは推しやすいんです。スマートフォンを通して気軽に会えるし、アーカイブも残るのでいつでも推し活ができます。
――最近、推しのVTuberが卒業してしまったとの話を聞きました。
小鳥遊るい:私がずっとずっと大好きだった「湊あくあ」さんが卒業をしてしまいました。やり切って、理想的ともいえる卒業だったとはいえ、やっぱり寂しくて……。この前「SHOWROOM」で、そんな私の切ない気持ちをファンの方に聞いてもらっていたんです。そしたら「るいちゃんは卒業しないよね?」とコメントがきて「そういえば私、“こっち側”だった……」と気付きました。どのタイミングで卒業を決意しても、そのときにまだまだ私を必要だと悲しんでくれるファンの方がいる。そんな風にあらためて思うと「私もう、アイドルずっとやめられない!」って気持ちになりました。