チルカーノ

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◆第29回秋華賞・G1(10月13日、京都競馬場・芝2000メートル)

 秋華賞は18年以降、はっきりと傾向が出ているレースだ。ノーザンファーム生産馬が圧倒的に強く、18年にアーモンドアイがオークスからの直行ローテで勝利してから4年連続でオークスからの直行組が勝利。近6年で【5―1―2―12】。ここにオークス3着内&秋華賞4番人気以内というフィルターを掛けると【5―1―2―1】となり、勝率は55・6%、3着内率88・9%と圧倒的な数字となる。

 今年のメンバーで、オークスからの直行組は3頭。1着チェルヴィニア、2着ステレンボッシュは4番人気以下になることは考えづらい。だが、アドマイヤベルはオークス9着で直行組では3着内が1頭もいない「消しデータ」に該当しており、別路線組からの伏兵が入り込む余地もあると考える。

 実は、今年の3歳牝馬は世代レベル的に高いというデータがある。古馬との混合戦になった6月以降、9月29日までに行われた3勝クラス以上での3歳牝馬の成績は【5―2―1―15】。近10年で5勝を挙げたのは21年と2度しかなく、勝率20%以上となったのも17年(20・0%)、21年(23・8%)についで3度目だ。

 17年は勝ったディアドラが8月の札幌競馬場での1勝クラス、トライアルの紫苑Sから3連勝で秋華賞を制した。21年はアンドヴァラナウトがやはり8月に新潟競馬場で1勝クラスを勝ち、ローズSを制して秋華賞で3着に入った。そもそもの世代レベルが高いだけに、夏に古馬相手に勝利を挙げて軌道に乗れば、同世代のトライアルと秋華賞本番でも結果を出すことができたと考えられる。

 今年、魅力的なのはチルカーノだ。8月に中京競馬場で2勝クラスを勝利。注目は4月に勝った矢車賞。ディアドラも17年(当時は1800メートル)に勝っており、20年に勝ったソフトフルートはその後2勝クラスも勝ち、秋華賞で9番人気ながら3着だった。チルカーノはソフトフルートとほぼ同じ過程で臨むことになる。

 チルカーノの父はディアドラと同じハービンジャー。母の父キングカメハメハはソフトフルートの母の父キングマンボの父で、3代までの血統構成は今回の有力馬チェルヴィニアとほぼ同じ。また、母のアロマティコは12年の秋華賞3着、兄は21年皐月賞馬ジオグリフのほか一族には重賞勝ち馬がずらりと並ぶ。管理する高野友和調教師は22年にスタニングローズとナミュールでワンツーを果たした実績もある。(編集委員・小松 雄大)