「大変で難しい」けど…この笑顔!馬場咲希に米女子ツアーの今を聞いた

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国内外の女子ツアーは今季も若手の活躍が華々しいが、日本女子のプロゴルファーで忘れてはいけない存在が馬場咲希! 彼女の今に突撃!

考えて、考えて難しいけど楽しい♪馬場咲希の今

2022年の全米女子アマで優勝し、同年の全米女子オープンでは予選会を経て決勝ラウンドに進出。

23年にはJLPGAのプロテストを2位タイで合格した馬場咲希は、今季は米LPGAの下部ツアーである「エプソンツアー」にフル参戦中だ。

10月の最終戦終了時点で、賞金ランク上位15名に入れば米LPGAのツアーカード獲得という大きな目標をクリアするために3月からはじまった戦いは、7月に入ってほぼ折り返しを迎えた。

下部ツアーはテレビ中継も報道もほとんどないなか、7月上旬にアメリカで練習していた馬場咲希にインダビューできる機会があり“中間報告”として話を聞いた。

――エプソンツアーはちょうど折り返し地点に当たりますが、これまでの転戦を振り返ってみていかがですか?

「まだ11試合ですが、キャディがいなくてひとりでバッグを担いだ試合があったり、ギャラリーもいなかったりで、これまで私を支えてくれていた人たちの大切さがわかりました。それと、ゴルフやスイングのことなどをひとりで考える時間が多いので、ゴルフが難しいなあ、という感じ(笑)。考えることがたくさんあるから楽しいけど、結構大変で難しいです」

――つらかったことはありましたか?

「結果が出ていないときに、あれもダメなのかな? これもダメかな? と悩むことが多くて……。一緒に(家族や日本人関係者など)いてくれたときは、私が落ち込んでいると『こう考えようよ』とかアドバイスをもらって立て直していたんですけど、ひとりだとネガティブな気持ちが出ることもあって難しいです」

――そんななかで、自分で発見したことは?

「ラウンド中に考えすぎる場面が多かったんですけど、自分なりの課題を考え、取り組み、結果がよかったら次の週もやってみて、それでもダメだったら新しいことを考えています。そんな試行錯誤を繰り返していると『こんなときはこうすればいいんだ!』みたいな解決策が出てくることがあったから、今後もそんなふうにできたらいいなと思います」

ひとりになってメンタルとまわりにいた人たちの大切さに気づきました(馬場)

――具体的な例をあげると?

「最近は『考えすぎるのをどうしたらいいか?』に対して『よかったときは何も考えていない。喜ばないし、悲しまない』と気づきました。これまでは、よかったときには『よし!』、悪かったときには『うわ~、ミスった!』と毎回思っていたんですが、そういうのをマジで何も思わないようにするのを1回やってみたら、それが割とよかったので続けています」

――いい発見ですね。

「結果が出なかったときに、狙う位置がどんどん下がってきて、たとえば最初は優勝しようって思ってプレーしていたのに、だんだんネガティブな気持ちが大きくなって、自分のゴルフをどうしたらいいかわからなくなって、優勝なんて考えられない状態になってしまう。予選落ちも怖い。だから、一生懸命考えてプレーしたのにあっさり予選落ちしてしまった。それで『これだけ考えても落ちるものは落ちるんだ。考えてもダメなときはダメなんだ』と思ったら切り替えられました。そのすぐあとの試合で5位タイに入って、自分のやってることが合っているのかわからなかったけど、1試合でもいい結果を出したいと思っていたところで出たのでよかったです」

――メンタル的なことが大切でしたか?

「今までメンタルのことをあまり考えないできた、というか、今よりも試合中に考えていたことが少なかったし、不安なことも少なかったので、メンタルを気にしたことがありませんでした。でも、こっちにきてひとりでやっていると、今、自分がこう思っているということが、まわりに人がいたときよりもわかっちゃう。ボールを打つ練習は大事なんですけど、それとともにメンタルなことも考えはじめ、それで毎週意識するメンタルの課題を見つけてやりはじめたことで、メンタル面の大切さに気づきました」

――考えてもダメと気づいたり、逆にメンタルを意識したり、成長著しいですね。ここまでの自分に点数をつけるとしたら?

「よくて40、50点じゃないですかね。赤点にしたいぐらいの気持ちですけど(笑)。結果がすべて。今やってることが将来につながればいいですけど、エプソンツアーで結果を出さないとLPGAツアーには上がれないから、難しいけどそこを目指してガンバります!」

――最後に、これまででよかった思い出はありますか?

「ユタ州の試合に行ったときに、はじめて景色に感動しました。これまで外とかあまり見てなくて、景色とか興味がなかったんですけど、お昼を食べようとしたときに山と山の間の大きな川の上に橋があるのを見て、そこでお昼を食べたことに大満足しました(笑)」

――楽しみながら過ごしていることもあってよかったです。

「はい、楽しいです!」

馬場咲希
●ばば・さき/ 2005年生まれ、東京都出身。176cm。長身から放たれるドライバーの飛距離は270ヤードを超えることも。主戦場の米女子下部ツアー「エプソンツアー」は6月までに年間20試合のうち11試合を終え、馬場は2位1試合、5位1試合、予選通過9試合でポイントランクの順位は20位。サントリー所属。

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE