小説家の韓江(ハン・ガン)氏

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小説家の韓江(ハン・ガン)氏が韓国人作家として初のノーベル文学賞の栄誉に輝いた。2016年小説『菜食主義者』でマン・ブッカー賞を受賞して以来8年ぶりだ。韓国人のノーベル賞受賞は2000年金大中(キム・デジュン)元大統領の平和賞に続き2人目だ。スウェーデン・アカデミーは10日(現地時間)、受賞者として韓江氏の名前を呼称して「歴史的トラウマと人間の命の脆さを浮き彫りにする強烈な詩的散文」を書いた作家だと紹介した。

韓江氏は流麗な文章と奥深い世界認識で早くから韓国国内はもちろん、海外でその文学的成果を認められた作家だ。延世(ヨンセ)大学国語国文学科を卒業して出版社に勤務している間、1993年「文学と社会」冬号に『ソウルの冬』など詩4編を発表して詩人として登壇した。翌1994年、ソウル新聞の新春文芸で『赤い錨』(原題)が入選し、小説家として第一歩を踏み出し、1995年最初の小説集『麗水の愛』(原題)を出版した。

2005年『蒙古斑』が李箱(イ・サン)文学賞受賞作に選ばれた。世界的な注目を浴びたのは2007年に発表した『菜食主義者』だ。『菜食主義者』は肉食を拒否した主人公を通じて私たちの中の暴力を告発した作品で、大きな反響を呼んだ。2016年が同作を英語で翻訳したデボラ・スミス氏とともにマン・ブッカー国際賞の受賞者に選ばれた。

2014年に発表した『少年が来る』はもう一つの転換点だった。5・18民主化運動を題材に、個人の苦しみや内面を繊細に描写した作品だ。韓江氏はあるインタビューで「1980年光州(クァンジュ)民主化運動が人生を変えた」とし「光州で虐殺された人々の様子を編んだ写真集は、私が人間に対する根源的な問いを投じる密かな契機となった」と明らかにすることもした。昨年には『別れを告げない』でフランス・メディシス賞外国文学賞を受賞した。ブッカー賞に続くもう一度の「韓国人初」のタイトルだった。

マン・ブッカー賞受賞以降、韓江氏はノーベル文学賞の有力候補に挙げられてきた。特に今年はアジアの女性作家が受賞するという予測が出て、中国の残雪氏らと共に主要候補として言及された。ノーベル委員会は10日、韓江氏の作品について「歴史的トラウマと見えないルールに対抗し、人間の命の脆さを浮き彫りにしている」としながら「肉体と魂、生者と死者の間のつながりに対して独自の認識を持ち、詩的で実験的なスタイルによって現代散文のイノベーターとなった」と評価した。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日、フェイスブックを通じて「大韓民国文学史上、偉大な業績であり、国民皆が喜ぶ国家的慶事」と祝った。