厚生労働省

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 厚生労働省は、従業員50人未満の小規模事業所に対し、働く人の「ストレスチェック」を義務づける方針を決めた。

 仕事上のストレスで精神疾患を発症する人は増えており、義務化の対象を全事業所に拡大して対策を強化する。来年の通常国会で労働安全衛生法改正案の提出を目指す。

 ストレスチェックは同法に基づき、2015年から従業員50人以上の事業所に年1回の実施を義務づけている。仕事量や食欲などについて尋ね、ストレスの度合いを数値化して示す。

 結果は本人に通知され、「高ストレス」と判定されると、医師の面接指導を勧められる。21年度の国の調査で、受検者の74%が「有効だった」と回答するなど一定の成果を上げてきた。

 だが、長時間労働などが原因で心の健康を損なう労働者は後を絶たない。うつ病などの精神疾患を発症して労災認定を受けた人は02年度は100人だったが、昨年度は過去最多の883人に上った。

 改善に向け、3月から厚労省の有識者検討会で議論を開始。厚労省は10日、「全労働者に受検の機会を与えるべきだ」として、義務化の対象を従業員50人未満の事業所にも広げる案を示し、了承を得た。

 従業員50人未満の事業所は21年時点で全国に約364万か所あり、労働者は約2893万人。義務化によって業務負担の増加が懸念されるため、導入は数年後を想定しており、支援体制も整備する。22年のストレスチェックの実施率は50人以上の85%に対し、50人未満は32%にとどまった。