​プーチン大統領

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今後、ロシアでは検察の捜査を受け、裁判にかけられた被告人が軍入隊の意思を明らかにすれば、起訴が取り消される見通しだ。これ以上裁判を受けずにすぐ軍服を着ることができるという意味だ。2022年2月、隣国ウクライナを侵略し、2年7カ月以上戦争を繰り広げているロシアは、死傷者の急増で深刻な兵力不足を経験している。

​2日(現地時間)、AP通信によると、ロシアのプーチン大統領は同日、新たに設けられた刑法改正案に署名した。刑事事件に関わった被告人が軍に入隊する場合、起訴の効力が無効化し、裁判を受けなくてもいいという点が改正刑法の柱だとAPは伝えた。

これまでロシアでは有罪宣告を言い渡されて刑務所などに収監中の受刑者が軍入隊の意思を明らかにすれば釈放する制度を施行してきた。また、犯罪容疑で捜査を受ける被疑者が軍入隊を決心すれば、嫌疑なしの処分を下し、捜査そのものを終結してきた。同時に、すでに起訴された被告人が軍に入隊することにした時にも特恵を施すことにしたわけだ。

ロシアは2022年2月、ウクライナを相手に全面戦争を起こした後、最前線に投入された将兵の多数が死亡、または負傷した。開戦後、ロシアは人命被害の規模を公に発表したことがない。ただ、ウクライナは最近、2年7カ月以上の戦争期間中、ロシア軍の死傷者が65万人余りにのぼると主張した。米国のシンクタンク「アトランティック・カウンシル」は今年9月にまとめた報告書で、ロシア軍の死傷者数を約50万人と推定している。

戦争の長期化によって兵器不足に直面しているロシアは、2023年から北朝鮮から砲弾とミサイルを大量に輸入している。ただ、兵力の損失は、そのようなやり方で補うことはできないというのが問題だ。正規軍ではなく民間企業に雇用された傭兵を活用するのにも限界があるのが現実だ。結局、徴集年齢を引き下げ、また徴兵の対象ではない中高年層男性の志願入隊も促す形で兵力を補充している。これに先立ち、プーチン大統領は、ロシア国防省に将兵数を18万人に増やすよう指示した。

最近、ロシア政府が打ち出した2025年度予算案の草案は、国防費が全体の32.5%を占めるほど膨大なものだ。アトランティック・カウンシルは、ロシアが莫大な人命損失にもかかわらず、徴兵を拡大し、国防予算を大幅に増やすことで、今後150万人の軍隊を維持することができると観測した。