9月26日、出直し選挙を宣言した兵庫県斎藤元彦知事(写真・馬詰雅浩)

 反省よりも“自慢”を聞かされたような会見だった――。

 不信任決議案が全会一致で可決されてから1週間。兵庫県斎藤元彦知事が9月26日、県庁で記者会見を開き、「県議会の解散はせず、30日付で自動失職します。次期知事選で、出直し選挙に臨ませていただくことを決めました」と語った。今後は、50日以内に出直し知事選がおこなわれる。

 午後3時に始まった会見で、斎藤知事は序盤こそ、失職の決断がいかに難しかったかを訴えたが、その後は自身がいかにして公約を達成したかの自慢話が続いた。「公用車だった超高級車の解約」「65歳以上のOB職員の、関係先への天下り禁止」など、この3年間で次々と改革を成功させたことについてアピールしたのだ。

 もちろん、これまでどおり、自らのパワハラにより命を絶ったとみられる職員に対しての、謝罪や反省はなかった。Xでは、知事への厳しい意見が大量に寄せられている。

《会見を上手く利用し、出直し選挙の出馬表明を自慢話を交えて語っただけ。 この男… 相当なくせ者だぞ》

《斎藤知事の会見、実績アピールに終始しててワロタ 失職の原因は自分のパワハラなのに、まるで選挙演説みたいだったわ。県民のことより自分のことしか考えてないのがバレバレじゃん?》

《何も反省も自省もしていないし、万一選挙で再選でもしたら「自分の対応は有権者の信認を得た」とかになっちゃうので落とす以外の選択肢ないのだが……》

 会見を聞いていた視聴者の怒りがさらに強まったのは、斎藤知事自らが語った「高校生からもらった手紙」について話したときだった。

「昨日、ぶら下がり(取材)をやらせていただいたときに、終わった後に、高校生が私のところに来られて、手紙を渡していただいた」という“ほのぼのエピソード”を持ち出した斎藤知事は、こう続ける。

「おしかりの手紙かな、と最初は思ったんですけど、部屋に帰って読んだら、まあ、いまでも見ると感情的になることもあるんですけど『辞めないでほしい』と書いてありました」

「知事のやってこられたことというものが、高校生にとっても響いている面があった」

 あたかも「自分は若い世代から支持を受けている」というようなエピソードの披露は、Xの投稿者へ、火に油を注ぐ形になってしまったようだ。

《子供をだしに使うな。卑怯者》

《辞めてほしいと言う声には聞く耳持たない 都合の良い考え方》

《こいつ…賛否の賛しか耳に入れない奴すぎん? 子供や高齢者の為に…みたいな。その間の世代になんて言われてるかちゃんと聞いてる? 高校生が手紙で『辞めないで』と、まだ応援してくれる人がいる。 …あの、応援してない人がほとんどなのよ。 その高校生の言葉以外、聞こえていますかー?》

 世間では斎藤知事を「鋼のメンタル」などと評することも多いが、単に自分に都合の悪いことには耳を貸さない性格なのかもしれない。