息子が「奨学金の支払いがきつい…」と助けを求めてきましたが、私も余裕がなく払えません。支払いが滞ると問題はありますか?

写真拡大 (全2枚)

奨学金を借りて大学へ進学した人が、就職後の奨学金返済が生活の負担となり困っているという話はよく聞きます。本記事では、奨学金の返済を滞納した際のデメリットや、救済制度について解説します。

奨学金の返済を滞納するとブラックリストに登録される

奨学金の返済を滞納すると、個人信用情報機関にブラックリストとして登録される可能性があります。
ブラックリストへの登録は、奨学金の返済を行う際に提出する個人信用情報の取り扱いに関する同意書に基づいて行われることです。奨学金の返済が3ヶ月以上遅れた場合には、返済者の個人情報が個人信用情報機関に登録されます。このことを、「ブラックリストに登録される」といいます。
2019年度に奨学金を借りて、2023年10月から返済を開始した場合であれば、2024年4月以降に3ヶ月以上の延滞が発生した時点でブラックリストに登録されます。ブラックリストの判定は返済を開始してから6ヶ月経過した時点から毎月行われ、延滞が続く限り登録が削除されないことに注意しましょう。
登録される個人情報には、氏名・住所・生年月日・電話番号・勤務先などの基本情報に加え、奨学金の貸与額や最終返還期日などがあります。また、延滞や代位弁済、完済などの情報も登録されます。
 

ブラックリストに登録されるデメリット

個人信用情報機関に延滞者として登録されることは、いわゆるブラックリストへの登録とされています。金融機関やクレジットカード会社は、借り入れやクレジットカード申し込みの際に信用情報を確認し、本人に経済的信用があるかどうかチェックをします。
経済的信用が低いと判断されると、クレジットカードが発行できなかったり、すでに使用しているクレジットカードの利用が停止されたりすることがあるかもしれません。また、カーローンや住宅ローンなどの審査にも通りにくくなるでしょう。
一度ブラックリストに登録されると、延滞が解消された後も、最低5年間は信用情報機関に記録が残り続けてしまいます。つまり、返済が完了しても情報が残っているため、将来の金融取引に影響を与えかねません。奨学金の返済を滞納すれば将来の経済的な選択肢を大幅に狭めてしまうため、計画的に返済を行うことが大切です。
 

奨学金の返済が難しい方に向けた支援制度

ここでは、奨学金の返済が難しいときに利用できる制度を紹介します。
 

減額返還制度

減額返還制度は、災害や傷病、あるいはその他のやむを得ない理由で奨学金の返済が困難になった場合に、月々の返済額を減額できる制度です。一般的に、制度の適用期間は1年間ですが、状況に応じて最大で15年まで延長が可能です。なお、返済期間が延びても返済総額は変更されません。
減額返還制度を利用すると、毎月の返済額を2分の1または3分の1まで減額が可能です。また、令和6年4月以降には、返済額を4分の1または3分の2に減額する特例も適用されるようになりました。
 

返還期限猶予制度

返還期限猶予制度は、月々の返済を一定期間延期できる制度です。適用期間は1年間で、経済的な状況が改善しない場合には、毎年申請を行うことで最大10年まで延長が可能です。
猶予制度では返済を延期でき、返済金額は変わりませんが、一時的に支出を抑えられます。ただし、返済期間が長くなれば返済完了までの期間も延びる点に注意が必要です。
 

在学猶予制度

在学猶予制度は、奨学金受給者が在学中の間、奨学金の返済を延期できる制度です。在学期間中は、最大10年間の返済猶予を受けることが可能です。返済猶予を受けるためには、毎年「在学届」を提出する必要があります。
なお、有効期間は1年であるため、申請手続きを1年ごとに行う必要がありますが、在学中であれば繰り返し申請できます。また、通信制大学に通っている場合でも、同じ制度を利用できます。
 

奨学金の返済を滞納する前に支援制度を活用しよう

奨学金用返済を滞納するとブラックリストに登録され、クレジットカードの発行やローン申請に悪影響をおよぼします。そのため、十分な返済計画を立てて、滞納しないようにしてください。
ただし、どうしても返済が難しい場合には、支援制度を利用できます。支援制度の内容や条件を確認して、有効に活用しましょう。
 

出典

独立行政法人 日本学生支援機構JASSO 個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー