オリ逸材19歳の初安打を生んだ“ハシゴ飯” 打ち明けた苦悩…3軒目で置いたスプーン
オリックス・内藤のプロ初安打を生んだ“ハシゴ飯”
■オリックス ー ソフトバンク(15日・京セラドーム)
待望のプロ初安打を“先輩”も喜んだ。オリックスの内藤鵬内野手が15日、本拠地で行われたソフトバンク戦に「7番・指名打者」で出場。2回1死の第1打席で、左翼フェンス直撃の二塁打を放った。この日はベンチスタートだった来田涼斗外野手は、強く両手をたたいて記念球を呼んだ。
「今年も怪我でスタートだったので、グラウンドで活躍している姿を見られてホッとしています。僕も春先は怪我(左大腿直筋の筋損傷)でスタートしてしまったので、少しだけ気持ちがわかります」
2学年後輩の初安打に笑顔を見せた理由がある。プロ2年目の内藤は今季、宮崎春季キャンプ中の練習試合(2月17日)で左肩を脱臼。4日後に手術を決断した。日本航空石川高で通算53本塁打を放った大型内野手として2022年のドラフト2位でオリックスに入団。ただ、新人年の5月5日にウエスタン・リーグ阪神戦(甲子園)で走塁中に相手野手と交錯し、左膝を負傷。9日に左膝鏡視下外側半月板縫合手術を受け、リハビリ生活を送っていた。
2年連続で怪我をしてしまった後輩に「治ったら一緒に頑張ろう」と声を掛け続けた。この日は「打席に行く前、すごく力が入っていたので『力むなよ。リラックスして行こう』と伝えました」と助言を送った。束の間のオフには外食にも誘い、適度な息抜きを意識。リハビリ生活を黙々と送る後輩の気持ちを思いやった。
21歳の先輩は「食事に出かけた時はごちそうしているので……。少しだけ先輩になったなという感覚はあります。また連れていけるように頑張りたいですね」と真っすぐな視線で答える。ふと、スプーンを置いた夜も懐かしい。
2人で出掛けた際は「食事、食事、食事……です。ご飯屋さんのハシゴができます(笑)」と明かす。焼肉、寿司、最後にはカレーをチョイスした日もあったが「でも、3つ目(カレー)で鵬ちゃんは付いてこれなかったです。何軒も行けるタイプじゃないです。1発が大きいです、やっぱり」と笑いを誘った。
来田自身は2021年の7月13日(日本ハム戦)にプロ初出場を果たし、プロ初打席で初球アーチを放った経緯がある。「もう3年前なんでね。今の自分に必死です」。たくましくなった顔つきで、切磋琢磨を続ける。(真柴健 / Ken Mashiba)